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ありがとう!(U建一の半生)
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、届ける手伝いをした。在る日、建一が、総一郎にノートパソコンと携帯電話を、買ってきた。そして、ノートパソコンに、自宅のインターネットのワイファイのパスワードを入力した。総一郎は戸惑ったが、建一が「俺が、父ちゃんに教えるから大丈夫」と、言って、パソコンとプリンターをケーブルで繋いでいた。二人の家には既に、建一用のノートパソコンとプリンターが有り、それは以前、塚本工務店で建築設計に使っていた物だった。しかも、ノートパソコンはワイファイで、ネットにも繋がっていた。二・三週間での総一郎の、携帯電話とパソコンの上達ぶりは、凄かった。テレビだけが総一郎の知識と情報の吸収源だったが、インターネットにより、吸収源が大幅に拡大した。総一郎はインターネッに、夢中になった。徐々に総一郎は、集落の老人達の知恵袋・生き辞引きに成っていった。夕食時の総一郎の話しは、ネットで仕入れた多岐に渡る話しに、変貌していった。在る日、総一郎が建一を呼んだ。総一郎はパソコンでビデオ電話を始めていた。建一は[興味を持つと、凄いな]と、思い、総一郎の上達ぶりに、舌を巻いた。
或る日、村人が総一郎の自宅に集まっていた。その中には、別の集落の人間も、数多く居た。一人の村人が「ゴルフ場が出来てから野生動物が頻繁に現れ、畑が甚大な被害を被っている。俺の果樹園も全滅だ」と、言った。別の村人が「町役場に言って、最、駆除を強化して貰う必要が有る」と、言った。複数の村人から「そうだ!そうだ!」と言う、賛同の声が上がった。室内が騒然となった。総一郎が村人達の前に立った。「あんた方の家に、無断で他人が入って来て[此処は俺達が住むから、あんた方は邪魔になる。あんた方は出て行け。出て行かないと、銃で殺す]と、言われ、土地も食い物も奪われたら、あんた方は如何する?」皆が、一瞬静まった。「ゴルフ場は、地主も家主も、野生動物だ!」と、大声で言った。室内は静まり、暫くの間、俯いた村人達の沈黙が続いた。総一郎は庭を指差した。墓石の前でモンタが、キョロキョロと余所見をしながら合掌していた。最近、モンタは庭に出る度に、墓石に合掌するのが、癖になっていた。「墓に眠っている母猿はゴルフ場の犠牲者だ!」と、言った。モンタが痛ましく感じた。村人達の目に、熱い物が光った。村人達が皆、脳裏に、ただならぬ矛盾を感じていた。村人達は墓石に合掌して家路についた。
一週間程して、村人達が再び、総一郎の家に集まった。村人の一人が「先日の総一郎さんの話を聞いて、感動した。自分の考えが、恥ずかしかった。総一郎さんが仏様に見えた」と、言った。総一郎は「有難う」と、笑みを交え返した。別の村人が「ゴルフ場は、荒井町長が過疎化・高齢化を防ぎ、地域活性化の為に掲げた、起爆剤だ。如何しよう?」と、言った。「それを、如何するかを話し合うのが、重要だ。野生動物との共存を、皆で考
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