ありがとう!(T幸世の半生)
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、母子家庭でした。女の子が[お母さん、死んじゃいました。葬儀屋さん、このお金で、お母さんの御葬式をして貰えますか?]と、言いました。傍に、割られた陶器の貯金箱が二つ有りました。それは、母子家庭の姉と弟が、小遣いを節約して貯めた、細やかな貯金でした。当然、葬儀を賄える金額では、ありません。私は[解りました]と、言い快く、その葬式を受けました。老人が[私も、僅かな年金暮らしで、生活費で精一杯です。後日、子供達が成人したら、お返しします]と、言いました。私は、[今、お子さんから葬儀料は、全額頂きました。お金には代え換えがたい、心で支払って頂きました]と、言いました。老人と女の子は、涙を浮かべ[有難う御座います]と言い、頭を畳に付けていました。私は、ドライアイスを入れ様と、母親の上掛け布団を取り外しました。母親は、痩せ細った体でした。女の子を就職させるまで頑張って、肩の荷が降り、息絶えたと、私は思いました。母親の人生に、無情な物を感じました。今も、私は、その葬儀を思い出すと、目頭が熱くなります。葬儀屋名利に尽きた、葬儀でした。当社の社長に、一部始終を話しました。社長は目頭を押さえ、息を詰まらせて[お前も、一人前に成ったな]と、言い、私の肩を叩きました。成人してから、女の子より、お金が送られて来ましたが、私は辞退し、送り返しました。今は、女の子は結婚して子供がいる様です。たまに、電話が有ります。弟の男の子も、就職した様です。♪私は、田舎に老いた母が居ました。父は私の幼い頃、他界しました。その葬儀以後、私は母を呼び寄せ、今は母と一緒に住んでいます。妻とは、母と同居する前に離婚し、子供はいません。同居する時[母は、住み慣れた田舎の方が良い]と、言いましたが、説得して、我が家に連れて来ました。今は家事をし、大人の私の世話を焼くのが、生甲斐みたいです。親にとって子供は、何歳に成っても子供の様ですね。母は田舎者で、スーパーの惣菜は殆ど買いません。料理は田舎風で、彼女の手作りです。母には、現代風の料理は作れません。漬物も漬けています。私は、外食を殆どしません。朝と晩は自宅で、昼は母の手作り弁当を、食べます。私は毎日、御袋の味を満喫しています。それが、私の親孝行だと思っています。母は御近所に、自分で作った料理や漬物を配るのが、大好きです。今では我が家は、御近所の奥さん方の溜まり場です。昔の菓子も作り、子供達に配っています。次第に、我が家に寄り付く様になり、子供達の溜まり場にも成りました。母は[町場も、捨てたものじゃないね]と、言って、張り切っています。子供達は母の事を、婆ちゃんと呼んでいます。孫がいない母は、近所の子供達を、孫と思っています。子供達の中には、成人した子供もいます。私ども仕事は、御客さんも家庭に入って行くので、内情が見えてしまいます。中には故人の棺の前で、
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