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ありがとう!(T幸世の半生)
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だけです。民間企業は墓地を造成する為に、宗教法人の名義を借ります。地方公共団体は、民間企業に、名義を貸す事は出来ません。宗教法人は、墓地を造成した民間業者より、名義貸し料と、分譲した墓地の多額の永代使用料を、受け取ります。無信教の高木さんも、お寺に永代使用料を払っているのです。これが、墓地が高額になる絡繰り(からくり)です。更に葬儀の際、御布施として、100万円を貰っている坊さんは、ザラにいます。高木さんの無宗派の葬儀は、賢明だと思います。あそこに停まっている高級車は、この霊園に名義貸している、坊さんの車です。キャバグラで、豪遊している坊さんもいますよ。仏教の開祖、釈迦は、金銭欲や出世欲や性欲などの、現世の全ての欲を超越することが大事だと、説いています。宗教法人の坊さんには、税金は有りません。坊主、丸儲けですね。矛盾していますね」と、言った。幸世は、別世界の醜さを垣間(かいま)見た。そして、葬儀社に、親近感を覚えた幸世は「葬儀屋さんの仕事は、大変ですか?」と、訊ねた。「はい、365日24時間、無休です。真夜中の遺体搬送も有ります。警察官や消防士などの公務員は、労働基準法で、当直と非番が有ります。葬儀社は殆ど、人員に余裕が有りません。公務員の様に、人員に余裕を持てば、葬儀社は倒産します。葬儀社の、労働基準法違反は現実です。有休なんて、夢の世界の話しです。事故の遺体や、腐乱した遺体や感染症の遺体にも、触れます。求人を掛けても、私達の様な、時間的にイレギラーで汚い仕事は、すぐ辞めてしまいます。私達は3K(きつい・危険・きたない)の仕事です。坊さんは遺体には触れません。崇められ、高飛車な態度を取っているだけです。聖職者は[神や仏を信仰すれば助かる]と、言います。信仰心を持っている坊さんが、如何して病院に行くのですか?解りません。聖職者は口先で、如何様にでも、立派な事は言えます。一般人の様に、自分の糧を得る為に、汗水を流してはいません。私共は仕事的に、人から差別的な用語を浴びる事も、有ります」と、言った。幸世は「結婚していますか?」と、聞いた。葬儀社「離婚しました。私の様な、時間的に不規則な仕事に、嫌気が差し、妻は出て行きました」と、言った。「如何して、お仕事を続けるのですか?」と、幸世は聞き返した。「私の様な者でも、社会で必要だと思うからです。[お客様に有難う御座います]と、言われた時、一番嬉しく、喜びを感じます。昔、私の若い頃に担当した葬儀の事です。葬儀の依頼が入って、その御宅に出向きました。♪家は極、小さな貸家でした。家に入ると、40歳位の女性が、布団に寝かせてあり、傍に、女の子と男の子と小柄な老人が、座っていました。聞くと、女の子は今年、高校を卒業して仕事に就いたばかりで、男の子は中学生で、小柄な老人は遠縁の小父さんでした。家族は三人で、母親と女の子と男の子の
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