貴方の背中に、I LOVE YOU(後編)
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別々だから平気よ」と、辿々しい英語にジェスチャー混じえながら、教えた。大浴場はパノラマ浴場で、眼下に町の灯りが見えた。大浴場の真ん中の垣根で、男湯と女湯が仕切られ、双方の声が、垣根を越えて聞こえていた。辰之助が、安造の背中を流した。暫くすると、リベルが、大きな湯船で泳ぎ始め、平が、他の客に迷惑になるからと、注意をした。女湯では、ハーモニーが、夜景に魅了されていた。アキがハーモニーの体を見て「それ、キスマーク?平が、付けたの?」と聞くと、ハーモニーは、微笑みながら頷いた。日本に着いてから、ハーモニーは寒さ対策で厚着をしていたので、キスマークは見えなかった。アキが「平、助平ね」と、言うと、「平の助平、大好き。ハーモニー、嬉しいの」と、ハーモニーが答え、アキは、目が丸くなり、開いた口が塞がらなかった。傍に居た夕子が、含み笑いをしていた。ハーモニーは、垣根に近寄り「平、聞こえている?アキが平は助平だって」と、英語で言い、大浴場の中に反響した。大浴場に入浴中の客の中で、英語の解る客から、笑いが噴き出した。平が慌てて「ここでは、話は駄目。後から」と、英語で返し、再び、大浴場は爆笑に包まれた。ハーモニーは、無邪気な側面も、持ち合わせていた。宴会場での、夕食が始まった。半纏にゆかた姿で、上座から安造、ハーモニー、平、夕子夫婦、リベル、アキの順で、席に付いた。夕食は、懐石料理だった。平が、刺身にワサビを付けて食べる様に、教え、ハーモニーが口にした。突然、彼女の顔が、しかめ面に、変わった。「辛い!」と、叫び「平、意地悪」と、言った。ハーモニーが、隣に座って居る、安造の席の御銚子で、安造のグラスが、満杯に成る位、日本酒を注いだ。安造と平が、ビックリした。慌てて平が、日本酒の御酌は、お猪口に注ぐのだと、教え、グラスから御銚子に、日本酒を移し替えた。安造と平が、苦笑いをした。改めて、ハーモニーが、安造のお猪口に、御酌を仕直した。今度は、安造がハーモニーの、お猪口に日本酒を注ぎ、返杯する様に求めた。ハーモニーが飲み干した。安造は、上機嫌で拍手した。ハーモニーは、懐石料理の伊勢海老の皮を取り除き、中味を、平の口に運んだ。一方、末席のアキは、茶碗蒸しをスプーンで、リベルの口に入れていた。両横の、仲睦まじいカップルに挟まれた、安造と夕子夫婦は、当てられぱなしだった。舞台で、手品の余興が始まった。手品師が、本日の一番イケメンと称して、リベルを舞台に上がる様に、指名した。手品師は、リベルにロープを渡し、ハサミで切る様に指示し、リベルがロープを切った。手品師が、リベルが切ったロープを、自分の手で掴んだ。手を開いた。切ったはずのロープが、繋がっていた。次に、手品師は、トランプを取り出し、中から一枚のトランプを、リベルに引かせた。手品師にはトランプの数字が
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