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深夜、猫カフェで
深夜、猫カフェで
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店は何時からですか。」
「午前11時からです。」
「うわっ、それじゃ、店長さん寝る時間ないじゃないですか。」
「客がいない時間に奥で仮眠できますから。」
「他に店番する人、居るんですか?」
「今のところ、僕一人で回してます。」
「へぇ。定休日は…」
「第3木曜日です。その日は猫たちのシャワー日に当ててます。」
「猫がシャワーを? 怖がりません?」
「うちの猫は小さい頃から水に慣らしてるんで平気ですよ。」
「お一人で全部の猫を? 大変…。10匹以上はいますよねぇ。」
「ええ。衛生面だけじゃなくて、防臭にもなるんで。」
「せっかくのお休みも、1日猫たちにつきっきりですか。
 はぁ…、惜しみない猫愛に脱帽です…。」
猫になり代わり、心から恐れ入った。
「結局、猫の居心地の良さが人の居心地の良さに繋がると思うんですよ。
 だから、猫に教えられながらこの部屋も作ってきました。
 猫はくつろげる場所をよーく知ってますからね。」
たしかに。人間同士もそうだ。
自分の居心地のよい場所を作ることができれば、
一緒に居る相手もまた居心地よく感じるものだ。
ペットを飼うということは、ただ単に愛玩目的というだけではなく、
猫との関わりからコミュニケーション能力が鍛えられたり、
居心地のいい環境作りにも目を向けられるのかもしれない。
「あのう、私をここで雇ってもらえませんか?」
「はあ?」
店長がぽかーんと口を開けているのを見て、紗英の顔がかーっと熱くなってきた。
ふと、口から衝いて出た言葉に紗英自身が驚いた。
すると突然、店長が仰け反るように大笑いしだした。
「あっははははは!! またそんなご冗談を…。」
「あ…、いえ…、冗談ではなく…、たぶん、本心です。」
「えっ? だって、今お仕事されてるんでしょ。」
「そうなんですけど…。なんか、私も猫たちからいろんなこと
 教わりたいなぁって思って…。」
「動物関連のお仕事、今までにされたことあるんですか?」
「いいえ…、あ、でも学生時代に喫茶店でバイトしたことはあります。」
「ああ…。」
「あのう、この仕事、何か資格とか必要なんですか?」
「僕は一応、動物取扱い責任者の資格は取りましたけどね。
 必要だったんです、開業するのに。
 それ、最初は知らなくて、開店の3か月前になって慌てて勉強し始めて、
 まあなんとかギリギリ、開店には間に合ったんですけどね。
 高校以来ですよ、あんなに猛勉強したのは。」
「へぇー。」
「そのあと知人に勧められて、ペットフード管理士の資格も取りました。」
そうか、カフェとは言え動物を取り扱うわけだから、
それなりに専門的な勉強もしないといけないのね。
「じゃあ、私もこれから勉強します。
 週末だけでもお手伝いさせても
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