暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第234話 剣の聖域
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には届いていなかった。

「(凄い……。これは、ただ速い、それだけじゃない。……純粋な速さなら――ユウの方が上、だって思う。……ユウと戦ったあの人も)」

 ランは、右手で剣を構え、空いた左手で ぐっ、と頬を拭った。
 緊張感も忠実にトレースしている故に、頬に汗が伝っていたのだ。

「(全部、見えている。いや、読んでいる。……何手先も。なら、少し冷静にならないと。……ここは引いて―――っ!!)」

 ランは、また――声が頭に静かに、そして はっきりと響いた。
 声は、1つだけじゃなかった。 

『ふふっ、どんな勝負でも、二手、三手先を読まないとダメって事だね。ユウキもそうだけど、ランさんも とっても素直な性格だからかな? とっても読みやすいよ。――でも、それでも、2人の速さはずるい、って思うけどね?』
『むむ――っ 負けないですよ!』
『あはははっ。こっちこそだよっ!』

 紛れもなく、それは自分の記憶。なぜ、このタイミングで聞こえてくるのか判らなかったが、それでも、この中でも一際強く聞こえるのは。

『ランさんは とても強いですよ。――とっても』

 その言葉があって……、ランの中で《引く》と言った逃げる様な選択肢は消えた。

 彼女の言葉を訊いて、ユウキとランは、色々と試行錯誤していた。
 考えるよりも動くユウキには難しかったのだろうか、頭を抱えて唸っていたのも記憶に新しかった。だけど、それはどれも良い思い出。

 輝ける日の――思い出。


「(傍で――、今も、……いつも、一緒(・・)に戦ってくれてる。だから、私は、私達はもっともっと強くなれる。ここで引いたら――笑われちゃう、よね)」
『っ……』


 ランは―― 一瞬だけ、見守ってくれているユウキの姿を見た。軽く笑みを見せた後、ゆっくりと姿勢を変えた。

 両足を左右に開いて、左右のどちら側にでも素早く動ける様にしていたスタンスから、足を前後にし、そして やや前傾姿勢をとった。……ランは、相手の強さを目の当たりにして、防御態勢、回避優先にしていたが、変えた。


――決して逃げない。


 そう決めた。その強い意志は視ただけでよく判る。

「(……気合を入れ直した。()に、力が更に宿った。…………随分と熱烈な視線を向けられたものだな。……こちらは最初から余裕なんて、微塵もないんだが)」

 彼女の。――剣聖(ラン)の意志を感じて、思わず笑ってしまうのはリュウキだった。

 《絶剣》と《剣聖》

 その強さに関しては、何度も訊いていた。事情がありALOに来られない事が最近では多かったが、それでも その強さ故に、何度となく訊いた。

 そして、直に接して、確信した。

 この世界ででも、何度
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