暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第234話 剣の聖域
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わかっているんだけれど……、やっぱり不安は尽きないのも仕方がないのである。女の子だから。
 とりあえず、アスナは、レイナを諫めつつ、再びリュウキとランの方へと視線を向けたのだった。





 2人の戦いを見守っている者達は、其々に話をしたり……盛り上がっている者達もいるが、生憎とリュウキの耳にも、ランの耳にも入っていなかった。ただただ、目の前の相手に意識を集中させていたのだ。一合交えたのみではあるが、それだけで相手を雄弁に語ってくれると言う物であり、剣を構えたまま、2人は笑っていた。

「やるな?」
「お兄さんこそ」

 互いに偽りのない賛辞の言葉を向けていた。

「「ッ!!」」

 だが、その時間も決して長くはなく――即座に距離を詰めた。今度はリュウキの剣閃がランの胴体部へと迫る。十分にそれを視て(・・)いたランは、受け止めようと刃での防御態勢に入るが、ランに直撃する刹那。

「っ……!!」

 ランは、目を見開いた。リュウキから迫りくる剣閃が、その太刀筋が、自分の剣に触れる直前で、曲がった(・・・・)のだ。あまりのタイミングの良さに、まるで、自分自身の行動の先を読んでいた、と思える程だった。

 一瞬の動揺……それが致命的な隙になるという事も珍しい事ではない。それが真の強者同士の対決であれば尚更だ。

 初の直撃を受けてしまう事、或いはその一撃で勝敗を決してしまう覚悟をしたランだったが……、動揺、そして 猶予が全くないと言う状況とは言え、全力で回避しようと限界まで体を捻ろうとした結果、ずるりと足が滑った。この場所は自然エリアであり、短めの草が密に生えている地だ、故に石畳や裸地と比べると設定摩擦力、と言う観点に置ければ、低く設定されている事も幸運だっただろう。

 そして、相手が体勢を崩す。そんな所まで、予知する事などできる筈もなく、考慮していなかったリュウキ。その剣閃は、ランの身体(アバター)の皮一枚程を削った程度だった。確かにダメージを与える事は出来たと思うが、小ダメージ。……虚を突いたと考えていたのだが、大ダメージを見込めない一撃となった。

「………」

 だが、リュウキは決して慌てた様子はなく、追撃をしようともしなかった。
 相手が警戒心を更に上げたであろう事は、あの攻撃の刹那、一瞬のランの表情ではっきりと分かったからだ。だからこそ不用意な追撃は、逆にカウンターを狙われてしまう、とも思えたからだ。

 ランは、その一撃を受けた事によって発生した身体に伝わる衝撃をも利用し、後方へと跳躍、距離を再び取った。

 この試合だけではなく……絶剣と剣聖、そのどちらにもまだ取っていないオープニングヒットを取った快挙。その事実に場は一瞬静まり、そして湧く。

 だが、その声も2人
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