暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第九十六話 和平への道 (その2)
[5/5]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
は微かに笑うと言葉を続けた。

「分るか、レベロ。毎年二百万近い人間が死んでいるんだ。十五年もすれば三千万だ」
「それがどうした」
トリューニヒトに気圧される。それを振り払うかのように言葉を放った。

「このまま戦争を続けて十五年後、和平が結べるか?」
「……」
「私たちが権力の頂点にいるか? 軍部が和平に賛成するか? 市民の間に厭戦気分が出るか?」
「……」

「無理だ。この国は反銀河帝国の国なんだ。市民は生まれたときから打倒銀河帝国を子守唄に育っている。生半可なことじゃ和平なんて結べない。戦争は更に百年、二百年と続くだろう」
「……だから大敗させろと」

「そうだ、思いっきり負けさせたほうが良い。軍部にはもう戦えないと言わせ、市民には戦争はもうたくさんだと言わせる。それしか和平を結ぶ道は無い。三千万の死者でそれが出来る? 上等じゃないか」
「……」

「幸いイゼルローン要塞が有る。あれと、宇宙艦隊が三個艦隊ほど有れば同盟は守れる。そうだろう」
「……」

「レベロ、大切なのは機をつかむ事、そして権力を握る事だ。そうでなければ大事は成し遂げられない。今がそのときなんだ!」

そうかもしれない。しかし、そこまで犠牲を払わなければ和平は結べないのだろうか? 和平とはそれ程難しいものなのだろうか? 私は何処か狂気を感じさせるトリューニヒトを見ながら和平の難しさを改めて考えていた……。


[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ