Side Story
少女怪盗と仮面の神父 18
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!」
「……あの方?」
「気にしなくて結構! 君は此処で待機だ。絶対、動かないでくれ。絶対だ。いいね? じゃないと、冗談抜きで俺の首が飛ぶ! 俺を助けると思ってジッとしててくれ!」
「はぁ?」
両肩をガシッと掴まれたかと思えば、やけに必死な形相で懇願されてしまった。
捕らえた相手に何故そんな態度を取るのか。勢いを増して燃える家に再び踏み込む背中を見ながら、首を傾けた。
「ゲホッ……ゴフ……っ 此処はもう駄目だな……急いで移動しないと。大丈夫だとは思うが、山火事になったら君が証言してくれよ? 責任はきっちり負ってもらうからな!」
「そう言われても……困ります」
「困ってるのはこっちだよ! どんだけ破天荒なんだ君は! これだから自覚が無い短絡思考な女子供は……大体、同じ事を何回繰り返せば気が済むんだよ! まったく!」
食材入りの箱をミートリッテの足下へ置き、苛立たしげに自らの短い金髪をガシガシ掻き乱す青年。
「何回って……火付けなんて今まで一度もしてません! 今回のだって、こんな手枷を付けられてたら普通は逃げなきゃって思うでしょうが!」
「拘束したのは事実だけどね! 「普通は」まず最初に出せーとか叫ぶだろ!? でなきゃ、壁を激しく叩くとか! どうして呼び掛けもせずにいきなり火付けって発想になるのか、そっちのほうが不思議でならないよ俺は!」
「じゃあ、そうしたら答えてくれてたんですか!?」
「扉は開かなくても、呼ばれれぱ返事くらいはしたさ!」
「っ!? け、気配を消してたクセに……!?」
「気配を消さなきゃ奴らに見付かるでしょうが! 此処に来るまでだって、俺達がどれだけ神経使ったと思って……あーもう、何? この不毛な遣り取り」
物凄く渋い顔をして、魂でも出そうな深い溜め息を吐く青年の言葉に、ミートリッテはますます首を捻る。
「いったい、何なんですか? 私を眠らせてこの家に閉じ込めたのは、ハウィスと貴方でしょう? その前に同じ薬で眠らせたのも貴方、よね?」
「は? ……ああ、違う違う。確かに今回は彼女だけど、その前はアイツらだ。本人から許可を貰ってたって、留守中の婦人宅に潜むような失礼な事はしないよ。俺達は」
「アイツら? 俺……達?」
眉を寄せて尋ねるミートリッテに、青年は苦々しい顔で頭を振った。
「悪いけど、これ以上のお喋りには付き合ってられない。奴らがこっちに気付いたら非常にマズいんだよ。大人しく黙って付いて来てくれ。できれば、その警戒心バリバリの気配も消して欲しい。存在感垂れ流しで危険な山中をうろうろさせる訳にはいかないんでね。その箱は自分で運んで。俺は両手を空けてないと、君を護れない」
「護る? 私を?」
「ああ。それが彼女の願いであり、俺達に与えられた役目の一つだ
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