雨夜-レイニーナイト-part5/裏切りの代償
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るのだ?教えてもらおうか?」
やはりこいつは浅ましい奴だと思った。金しか信じれないとは。金と金銀など、人の命と比べればいつでも何度でも手に入る…そう、比べるまでもない。だがこいつは金の魅力に取りつかれた愚かな男。こんな奴に、ミシェルが苦しめられ、自分も親や故郷を奪われたのか。そう思うと、20年間溜め込んできた憎しみの炎が身を焦がしてしまうほどに燃え上がる。
これが…長年トリステインで高等法院長として居座り続けておきながら、その役目の裏側で国を食いつぶし、滅びに導いていた売国奴の正体なのだ。
「貴様に殺された父と母…そして村の皆の痛みを…ミシェルの分も含めて貴様に還してやる。貯めた金は地獄で使うんだな」
リッシュモンは自らの勝利に揺るぎがないと悟っていた。さっきはあの小僧の魔法吸収能力に驚かされたが、まだこっちには切り札があるのだ。彼は、チャリジャからもらっていた、あの怪獣の入ったカプセルを取り出した。アニエスは一歩でも動いたら撃つ姿勢を取り、リッシュモンに銃口を向ける。
「ふん、地獄に行くのは貴様らだけよ」
だがリッシュモンは、余裕の態度を崩さない。
すると、突如爆発を起こす。その煙が集まっていき、やがて一体の魚類のような怪獣となってサイトたちのすぐ傍に降り立った。
「あれは…ゾアムルチ!!」
その怪獣の姿を見てサイトは叫んだ。
『巨大魚怪獣ムルチ』。それはかつて、ウルトラマンジャックが戦った怪獣の一体。後にウルトラマンエースの時期にも出現した怪獣だ。サイトが地球にいた頃は、その亜種であるこのゾアムルチが現れ、メビウスと雨の中の激闘を繰り広げたとされている。
「まさかあんた…すでにあのカプセルを開封していたのか!」
「ふふ、その通りだ。せっかく高い金を払って手に入れた商品だ。購入者として買ったものがどんなものか確かめるのは当然であろう?」
卑劣な笑みを浮かべながらリッシュモンは言う。
杖を振りかざすと、その意志に呼応するようにゾアムルチはサイトとアニエス、そしてミシェルに向かい始めた。
「おのれ、リッシュモン…!」
ここにきて、逆に追い詰められてしまうとは。今日この時のために生きてきたというのに!アニエスは膨れ上がるばかりの憎悪と怒りをぶつけるべき相手にぶつけることもできない現実を呪った。
(くそ…変身さえできたら…!)
あの男はこんな事態に備えてミシェルに盗ませていたのだ。あらゆる手段を使ってでも自分の野望にウルトラマンなんて邪魔でしかない。こんな時にまんまとウルトラゼロアイを盗まれた自分が情けない。
しかし、彼らを守ろうとするように、彼方から炎の塊がゾアムルチの前に降り立ち、炎の巨人となった。
「グレン!」
本来の姿である巨人の姿となったグレンファイヤーは、サイトたちを守るべくゾアムルチに立ち向かっていった。
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