雨夜-レイニーナイト-part5/裏切りの代償
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を増やすだけでしかないのか?
悩み始めるサイト。だが、アニエスがミシェルに向けて口を開いてきた。
「その痛みは分かる。私は、かつて故郷を貴族に焼かれたことがあるからな」
「「え…!?」」
それを聞いて、サイトとミシェルはアニエスの方を見た。
「20年前…まだ私が1桁の子供だった頃だ。私の故郷は何の咎もなかったにもかかわらず、炎の中に消された。後に調べたところで新教徒狩りのためだと聞いた」
瞳の中に映る景色は、この雨の夜ではなかった。
アニエスがまだ子供だった頃にみた、故郷が火の海に包まれるという地獄絵図。その中でただ一人、家族を呼びながら泣き叫ぶ少女がただ一人。
(アニエスさんも、失っていたのか…)
サイトは、自分と同じような過去をアニエスまでも持っていることに驚いた。
「だが、だからといって私は陛下に逆恨みはせん」
一方で、アニエスはミシェルとは逆の意思を示した。それを聞いてミシェルは声を荒げ、剣を抜いてアニエスに飛びかかった。アニエスも剣を抜いてミシェルの一太刀を防ぎ、土砂降りの雨の中にもかかわらず、剣と剣がぶつかる金属音が鳴り響いた。
「一体女王が何をしてくれたというのだ!今の王政を叩き潰し、何もない状態からやり直さない限りこの国は腐ったままだ!」
「やめてくれミシェルさん!」
サイトは一歩前に出てミシェルに向けて叫んだ。だが、ミシェルは剣をふるうのをやめようとしない。
剣をふるうミシェルに対し、アニエスは一つ一つの剣撃を受け止めていく。ミシェルは元は貴族、つまりメイジだ。だがさっきから呪文を唱えようともせず、正面から自分に県の勝負を挑んできている。恐らく、魔法を使おうとすればその隙を突いてくると予想しているのだ。ミシェルはアニエスの戦いを傍で見てきたから、彼女の戦法も理解していないわけがない。
数度目の撃ち合いの後、再び彼女たちの剣が互いに鍔迫り合いに入り込む。
「ミシェル…哀れだな」
互いの件を押し合う中、アニエスは憐れみの視線を向けながらミシェルに対して口を開いた。
「哀れだと?私を哀れむな!」
激高するミシェル。同情する気持ちがあるのなら、どうして王室は今まで自分を助けてくれなかったのか。
しかし、次の瞬間…ミシェルにとって衝撃的な言葉がアニエスの口から言い放たれた。
「お前の父君の汚職事件…その真犯人こそが貴様の恩人だ」
「………え………」
今、なんて言ったんだ?この人は。
私の恩人こそが…父の汚職事件の…何?
「すでに証拠は掴んでいる。父君は軍資金の着服の容疑を懸けられたそうだな。だが、実際にはリッシュモンがお前の父に着服するよう命令したのが真実だ」
「嘘だ……」
「お前の父からそれを断られたことを根に持ったリッシュモンは、雇ったスクウェアクラスのメイジに『フェイスチェ
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