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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
番外編1 彼女の笑顔
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と。
それからのネージュは、笑えるくらい必死だった。何とかしてキカとの関係を繋ぐことが出来ないか、彼女の心の中に少しでも良いから居座れないか……。
結果としてキカとの距離を縮めることには成功したと……と思うのだけれど、いかんせん上手くいかない。
笑わないのだ。
確かに、彼女は大口を開けて笑い声を上げるようなイメージは無い。しかし、それにしたって、笑わないのだ。浮かべるのは、良い所をだけを切り取った“美しい”笑顔だけ。ネージュは、もっと、色々な表情を見せてほしいのに。
警戒されているのか、緊張しているのか、本当は嫌われているのか、嫌々付き合ってくれているのか、それは分からない。判断する材料を彼女は与えてくれない。
だけど、そうやって悩めば悩むほど、ますますキカという少女に惹かれている己がいるのも事実だった。決して底を見せないキカを、楽しませようとあれこれ考える時間は、ひどく心が躍る。
呆れられたくない。疎ましく思われたくない。だが、何もしなければ、前へは進めない。それどころか、キカのような人だったら、どんどん距離が空いてしまうだろう。そんな、確信めいた予感があった。
幸い、まだ嫌われてはいない……と、思う。特に約束を交わしたわけではないのに、あの出会った草原にキカは現れるのだから。
でも、そうは言ったって不安なものは不安だ。
キカは優しい。見知らぬ人間をわざわざ主街区まで送ってくれるくらいには。まあ本人にそれを言えば、多分もの凄い勢いで否定されるだろうけれど。
「ねえ、ネージュ?」
「……ん、何?」
「あなた、大丈夫? 疲れているなら……」
ああ、やっぱり君は、すごく優しいじゃないか。何でその言葉を拒んでしまうのだろう。
いくら頑張ったって、冷たくなりきれないというのに。
「キカちゃん、一つ聞いていい?」
対して、自分はなんて酷いのだろう。醜いのだろう。
「え? ……ええ」
「…………キカちゃんはさ」
こんなこと聞いたって、キカを困らせるだけなのに。
「毎日ここに来て僕と一緒にいてくれるけれど、……どうして?」
「どうして、って……、それは」
ほら、やっぱり。
案の定、彼女は不可解気に黙り込み、目を細めて僕の方を見た。強い眼差しに、ネージュはさっと視線を逸らす。聞くべきではなかった。
ここへ来ることに、それほど深い意味は無かったのかもしれない。
冷静になって考えてみれば、あの日と同じ時間帯にこの草原に座っていたではないか。
もしかしてこれはキカの生活に組み込まれた習慣の一つで、ネージュはそこへ無理やり入り込んでしまったのではないか。彼女はネージュのことを、本当は迷惑に感じているのではないか。そうでなくとも、景色の一部とでも思っていたのかもしれない。
ネージュは一気に
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