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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第10話 黒染めの化け物(後編)
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―お前こそ、何とも思わないのか」
間抜けな表情になった男の顔が、意味を理解したのかじわじわと赤く染まっていく。あれは、憤りではない。羞恥だ。そして少しの焦りと後悔。
「俺からすれば、お前の方がタチ悪い」
男は黙り込み、肩を震わせ、拳を握りしめると、獣のようにギラギラと双眸を光らせて始めた。ただ一点、エギルをねめつけながら。その凶悪な気配に、サーッと血の気が引いていく。
「……お前、もしかして、あの女の……」
「…………」
「答えろ」
どくん、と心臓が跳ねる。
どうにか、しなければ。私が、エギルを、みんなを――――。
「失礼ね。そんな人と比べてほしくないわ」
突然割り込んだ私の声に、一気に視線が集まった。40対以上の瞳が、こちらに降り注がれる。中でも、体格のいい色黒の男が、信じられないものを見るような目をして、私の方を向いた。
……ごめんなさい、とそっと心の中で呟く。
「エギル、って言ったわね」
「……あ、ああ」
「どうやら私のことを助けようとしていてくれたみたいだけれど、勝手なこと言わないでくれるかしら」
「…………は?」
唖然としたような顔をするいくつものそれを見渡し、口角を吊り上げた。嘲るように、突き放すように、恐怖を覚えるように。
肩に置かれたルークの手をパシリと払い落として、壁に背を預けた状態のまま、再び口を開いた。
「私とそこの男がしたことを並べるな、って言っているの」
私が何のために、こんなことをわざわざ繰り広げたと思っているのか。お願いながら、邪魔をしないでほしい。最後までやり遂げさせてほしい。
手を差し伸べてくれた、あなたたちには申し訳ないけれど。
「私は後悔なんてしていないし、間違ったことをしたとも思っていないわ。もちろん、恥ずかしいとも思っていない。……そこの腑抜けと違ってね」
「な……っ!」
「あら、違うの? ちょっと言われただけで、顔を赤くしていたくせに」
くすくす、くすくす。
ああ、おかしい。
「あなた、そこのエギルって人に言われて、自分が暴力を振るったことを一瞬でも後悔したのでしょう」
もはや何も言えないらしい。酸素を求める魚のようにパクパクとさせて、かなり傑作だった。
「…………ねえ、エギルさん?」
顔を俯けさせた青年から視線を外し、ごつい男の方へ顔ごと向ける。ゴクンと生唾を飲み込む彼は無視し、すーっと目を細め、絶対的な冷たさを纏わせながら放つ。鋭利な、刃物を。
「私が言いたいこと、分かったかしら」
言葉で、彼を射る。
とても長いとは言えないけれど、エギル率いるメンバーと過ごした時間が頭を過った。だが、だからこそ、エギルを傷つけなければいけないのだ。
「私ね、今、すごくあなたにイラついているの」
驚愕の色に染め上げられた厳
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