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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第10話 黒染めの化け物(後編)
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それを知らぬふりをして続ける。
「私が言いたいのは、私が放った矢のせいでディアベルが体のバランスを崩した、ということよ」
「な……っ」
まったく考えがついていなかったようだ。それなのにも関わらず、ベータテスターたちを中傷したのだから笑えてくる。腹がよじれそうだ。馬鹿馬鹿しい。
「私は危険を知らせるつもりだったのだけれど、ちょっと手元が狂ってしまってね。私が余計なことをしなければ、彼は攻撃を回避出来ていたかもしれないわ。……いえ、彼なら出来ていたでしょうね」
つまりそれは、彼が死ぬことは無かったかもしれない、ということ。
ただし、もちろん手元が狂ったなんていうは嘘だ。確かに、命中率云々の関係で狙いよりも少しばかりずれたが、それも許容出来る誤差の範囲内だった。
だが、それでも、それが分かっていても、私は平然と嘘を吐く。そして、彼を嘲笑うような笑みを作り、嫌味たらしく、なおかつ毒針を突き刺すように言い放った。
「つまり、――――ディアベルを殺したのは私よ」
しぃんと、急に静まり返る。こんなにも大勢人がいるというのに、面白いくらい物音一つしない。けれども、うめくような声がそれを破った。
「……お前のパーティーはどこだ」
拳を握りしめ、震えさせながら、押し殺すように問うてくる。私はそれを鼻で笑ってやってから、
「仲間はいないわ」
蔑んでいるのがハッキリと伝わる口調で言ってやった。
瞬間、首元を強い圧迫感が襲った。目を瞬かせると、胸倉が掴みあげられている状況を認識する。
「そんなわけがないだろう! ……リーダーは誰だ! そいつが指示したんだろうが!」
「だから、仲間なんていないと言っているでしょう? …まあ確かに、組んではいたけれどね」
「だったら!!」
「あなた、相当な阿呆なのね」
「……どういう……」
「簡単よ。――――脅していたの」
「……は?」
力がすっと抜けた。その隙に、男の大きな手を払いのける。
「自分の利益のためだけにパーティメンバーを脅して、しかも騙していたのよ。……だから、本当の意味でのパーティは組んでいないわ。彼らのことは責めるより、こんな私に踊らされたことを憐れんであげた方がいいじゃないかしら?」
うぐ、と声を詰まらせる男は素知らぬ顔で、服の乱れを整える。そして今度は、私が男の襟元をぐっと掴み、顔を近づけた。クスクス、と笑い声を作る。
「私を殴りたい?」
「んな、お前……」
「私がいなければ、ディアベルは今ここにいたのよ。さぞ頼もしく、みんなを率いてボス部屋から出て行っていたでしょうね」
「――――ッ」
重いものがぶつかるような、鈍い音。左頬に鋭い衝撃が走る。視界が揺れた。首から上が、体の構造上の限界まで曲がる。
素晴らしいくらい忠実なシステムが、サラ
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