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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第10話 黒染めの化け物(後編)
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してしまっているので視えない。お互いに知らぬふりを続ける。偽られているのは、ホンモノなどないことは、解りきっているから。
 そんな場所に、他のヒトは入ってこない。入れさせない。
 ホールの中は荒れ果てていて、4年分のホコリが溜まっている。これは片付けかれることはない。ありえない。
 それを解っていても、解っているからこそ、目を逸らす。 “私たち”はそれぞれのニセモノを隠し、庇い合い、知らぬ存ぜぬを突き通す。そうしなければ、何もかもが壊れて、崩れて、終いにはまた幻想を打ち砕かれて、初めからになってしまうから。歪に捻じ曲がったそれが無くなれば、瞬く間に崩れ去ってしまうだろうから。
 しかし、それでも、……いやだからこそ、“私”は嘆く。
 ――――ああ、今日もガラクタばかり。
 網目状に割れた鏡の中で、“私”が見つめている。
 これは、明日も、明後日も、きっといつになっても変わらない。
 月日が増すのと比例して、根を深く張り、もうすでに私から引きはがすことは出来ないのだ。




「――――さて、大変長らくお待たせいたしました。役者の入れ替わりが済みましたので、これより……。」
 開幕を知らせるブザーが、音もなく私の中で、黒い世界で、暗い室内で鳴り響いた。
 そして、私は笑みを作る。
 また明日も、明後日も、いつまでも、この表情を浮かべ続けるのだ。

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