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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第10話 黒染めの化け物(後編)
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ように足元へ視線を落とした。
 瞬間、発作的にあることが浮かんだ。
「……あ、ああ……!!」
 口から、自然と音が漏れる。どうして、こんな簡単なことに気が付かなかったのだろう。
 昔家族で観たその歌劇団では、女性が男性役もやっているのだ。
 ――――そう、男性役。
 人間の思い込みは、なかなか拭うことが出来ない。外見だけでも男として振る舞っていれば、面と向かわない限り、キリトは私を紅葉だと気付かないはずだ。もしかしたら、女であることすら認識出来ないかもしれない。つまり、第一印象を勝ち取ってしまえばこちらのものだ。
 私ならば、システムの助けなど無くとも、性別をひっくり返すことなど可能だ。余程取り返しのつかない失敗をしない限り、誤魔化し切れるという自信がある。
 それは、私の得意分野なのだから。

 方針を決めた私は、さっそく動き始めた。とりあえず今は何でも良い。別に服装に拘るつもりなんてないのだ。NPCの服屋に入り、適当に購入する。
 店からほど近い宿に滑り込んで、用意された部屋に足早に向かう。おそらくキリトは今第二層にいるだろうが、それでも早く終わらせたかった。
 部屋を閉め、念のため誰も入って来られないように設定する。
 簡素なベッド一式と、机に椅子。最低限のものしか置かれていなく、薄暗い部屋は、実際の面積よりも余計に狭く感じさせる。けれど十分だ。休息を取るだけの場所なのだから、そんなご立派な設備は必要ないだろう。
 ウィンドウを開き、まず上着やらインナーやら、上に着ていた装備を外した。その分の重みは無くなり、冷たい空気が晒された上半身に刺さる。自分一人しかこの部屋にいないと解っていても、何となく居心地の悪さを感じてしまう。さっさと済ませてしまおう。
 そのまま手元を動かし、ここに来る前に購入したアイテムをオブジェクト化する。
 手元を見れば、なんて素晴らしいことでしょう、向こうではありえないだろう早さで、普通のものと比べるとかなり幅の広い――――おそらく目算で幅30センチ程度――――の包帯が現れた。長さは、とぐろ状に巻かれているのでこれも目算だが、おそらく200センチ程度のもの。
 それを、胸部へ巻いていく。静かな室内に、シュルシュルという音がやけに響いた。
そして、そこがなだらかな曲線を描いた所でちょうど布の端になったので、ぐっと内側に押し込んだ。
「……ふぅ」
  第一段階終了。
 巻けるかどうか多少不安があったが、“包帯”はもともと“巻く”と設定されているアイテムのようで、部位に指定は無いらしく、何ら問題などなかった。杞憂に終わって良かったと思う。
  次、第二段階。
 ウィンドウをさらに操作し、先ほど着ていたTシャツやキャミソールのアイコンを装備フィギュアへ移動させる。そして、包帯と一緒に購入した新
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