暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第10話 黒染めの化け物(後編)
[14/19]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
ら、間を埋めるために頬を掻き、次の手を考えていると、
「キリト」
それを、見事に遮断された。まさにクリーンヒット。思考が止まる。
「え?」
口からそう音が漏れ、思わず隣を見ると、空を遠い目で見上げているアスナの姿があった。そっと、彼女を盗み見ると、どこかやるせなさが漂っていて、しかし再び引き結ばれていた唇が開いた。
「だから、“キリト”よ。あの人の名前」
「……そう。教えてくれてありがとう、アスナ」
目を伏せ、彼女から目の前の風景へ顔を向ける。
――――キリト、ね。
音には出さないように、その名前を刻み付けるように心の中でつぶやいた。
なんて単純なんだろう。本名の最初と最後を取って3文字。
まあ私も同じように単純と言えば単純だ。ただそれが、自分の名前ではないだけで。
「……私も、同じようなものね……」
ぽつりと、水滴が一滴落ちるように小さくごちる。
「……ん、何か言った?」
なんと、落ちたしずくが掬い上げられてしまった。けれども、指の隙間から零れさせる。
「いいえ? 何も言っていないわよ」
不思議そうにアスナが首を傾けるので、「幽霊じゃないですか」と冗談めかして言ってみた。すると、予想以上に彼女の顔が引きつり、
「……や、やっぱり気のせいかも!」
上ずった声を上げ、途端に必要以上に手の振りが大きくなり、歩き方もどこか硬い。
……あ、こういう話題弱いんだ。
意外過ぎる一面で、なんだか得をしたような気分になる。 私は含み笑いを作りながら、助け船を出すように正面を指差した。
「ほら、もうすぐ主街区に着くみたいよ」
「そ、そうね。早く休みたいわ」
まだ若干口調が不自然だが、平静を装いたいのか腰に手をあて、ふぅ、とアスナが息をついた。そんな彼女を横目で見て、苦笑いを作ってから、息を浅く吸った。「じゃあここで」、と、そう別れの言葉を音にするため口を開く。
「……あれ、どうしたのかしら。ちょっと様子が変よ」
だが、アスナの一言によって閉口することになった。彼女が見ている方向を釣られるように見遣る。
そこには、何人かのプレイヤーが頭を捻りながら何事か話し込んでいる。その雰囲気は、どこからどう見ても異様だ。
すると、その数人の内、一人の男がこちらに気付いた。必然的にバチリと視線が絡まってしまう。そのことで、本能的に足が動き、後ろに半歩下がった。アスナと動きが完全に被る。しかし、次の瞬間。
びゅん!
そんな音がしそうな勢いで詰め寄られ、すぐに意味はなくなってしまう。
……あぁ、この人敏捷型かな。なんて、あまりに呑気に、場違いなことが脳裏をかすめる。だが、すぐにそんなこと考えている場合ではないと、思考回路を修正して、だがしかし、
「な、なあ、君たち、さっきのボス戦攻略戦のメン
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ