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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第10話 黒染めの化け物(後編)
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――――否、ディアベルの死に対する鬱屈だけならば、ベータテスターに対するそれを緩和、あるいは対象まで移す術を、私は持っている。
――――もし分からず屋たちを大馬鹿と形容するのならば、私は馬鹿の極みだろう。
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ルークの陰から出た。正面に周り、彼を見上げる形で目を合わせる。
「さっきはごめんなさい」
おそらく、先刻戦っている際に弾き返されたのは、彼と勢いよく接触してしまったためだろう。ほぼ同時にバランスを崩したのだから、確かなはずだ。
きっと、これっきりで縁は切れてしまうだろうから、ここで謝罪した方がいい。
「あ、あぁ、いや、大丈夫……」
突然のことで首に手をやりしどろもどろになるルークをくすりと笑ってやってから、一歩後ろへ下がる。けれども、わずかな変化に彼は気づかない。
ふと視線を外せば、先ほどまで栗色の髪が美しい少女と何やら話していたエギルが、こちらに歩いてきた。エギルは私たちを視界に捕え、表情を緩める。私は彼に向き直り、
「……エギル」
「ん、何だ?そんな真剣な顔して……」
「いえ…」
ごめんなさい、と心の中でつぶやく。
「……パーティーを組んでくださって、ありがとうございました。短い時間の間に色々あったけれど、あなたたちと一緒に戦うことが出来て、本当に良かった」
エギルが眉根をよせ、いぶかしむような表情になる。
「いや、別に礼を言われるようなことはしていないが。……ていうか、次のボス戦また……」
「いいえ、……もし組むのであれば、あの2人を入れてあげてください」
彼の言葉を遮り、言い放つ。その言葉にさらに表情を硬くして、
「2人?」
「ええ。……さっきの黒いソードマンの男の子と、栗色の髪でフェンサーの女の子よ」
「あ、ああ、それは構わないが……。しかし、お前は?」
私は、気遣ってくれるその言葉に微笑みを作り、向けた。
……本当にこの人は、最初から最後まで。
「私は、しばらく身を隠すわ」
どうせ、“彼”の方面でもどうにかしなければいけないし。
さらに一歩下がる。さすがに私の雰囲気が変わったことに気付いたようで、エギルをはじめとした、見開いた5つの目がこちらへ向く。
私はそれらを尻目に掛けながら、ウィンドウを操作し、――――彼らのパーティーから脱退した。
それはすぐに、システム伝いで伝わったようで、彼らの目がますます開いていき、驚愕に顔を歪めた。ルークが何か言い寄ろうとしてきたので、それを小さな手の動きで制する。
「私は、最初からこのパーティーではなかった。“仲間”では、無かった」
「…………は?」
左手に弓が現れ、腰に重みが増す。
「だから私が今からやることと、あなたたちは髪の毛一本分も関係ない」
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