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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第8話 六花が贈るメッセージ(後編)
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のプレイヤーの中から自動的に抽選が行われるそれに当選するか、くそ面倒くさいクエストをクリアするしかないそうだ」
「……ということは、私は前者ね」
「ああ、そうだ。他にも何人か選ばれて……、というか消えて、大騒ぎになった。まあ、このことはすぐに情報屋によって広まったんだけどな。多分、通常なら運営が事前に告知していたんだろうなと思う」
「そうなの。……なんてありがた迷惑なイベントなのでしょうね…」
 ――――こんなものが企画されていなければ、彼が死ぬことはなかったのに。
 唇をぐっと噛み締めた。エギル達を直視出来なくて、足元を視線が漂う。
「……それで、わざわざ来てくださったのですね」
「ああ……、何かあったらって思っていたんだが……」
 不自然なほど、言葉が途中で途切れた。私が首を捻りながら顔を上げた時、ルークの口がまるで厚い扉が開いていくように重々しく開き、それを告げた。
「――――遅かったんだ」
 なんのことを言っているのか、理解しようとするのを、私は拒んだ。
 何度か何かが空回りを続け、そしてしばし絶句し、やっと自分の口から音と呼べるような音が出た。
「……え?」
 初めて、彼らの顔をまじまじと見る。
 後悔。罪悪感。悔しさ。
 色々なものが混じり合い、昏い影を落としていた。徐々に彼らの顔が伏せられていく。
 ……私は、そのことによって理解してしまった。ルークが今口にしたことが、本当の事だと。
 頭が痛くなり、視界が暗くなる。しかし、それでもと、必死に理性を繋ぎ止めて、
なんとか音を絞り出した。
「……頭を、上げてください」
 けれど、上がらない。彼らの頭は、項垂れたまま上がらない。代わりに、うめくような声が紡がれた。
「俺たちがちょうど着いた時、金髪の兄ちゃんのHPがゼロになったんだ」
 やめて。
 心が叫ぶ。だが、それが聞き届けられることはなく、言葉は続いてしまった。
「もう少し……、あと数分でいい。あそこに早くたどり着いていたら」
 ……やめて。
 彼らが言う“もしも”が、私の身体を抉った。深く、深く、刃が突き刺さる。ポッカリと開いた傷口から、ボタボタと、赤黒い血が溢れ落ちた。
「……俺たちがもっと早くクエストをクリアしていたら、もしかしたら……」
 やめて!!
「お前たちを、もう少し早く見つけられていたら……ッ!!」
「いや……、嫌よ、それ以上聞きたくないわ!!」
 気づけば、自分でも驚くほどの金切り声をあげていた。けれど、自身の口を止めることが出来ない。
「お願いよ、もうやめて! そんなの聞きたくないわ!」
「き、キカ……」
 ――――いくらあなたたちがそうやって悔しがっても、ネージュは生き返らない!
「……っ、う、……っく」
 危うく迸りそうになったそれを、何とか喉の奥で
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