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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第8話 六花が贈るメッセージ(後編)
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毒々しい黄色い光を纏った剣先が振り下ろされる様子を、ぽっかりと空いた思考で他人事のように見つめていた。
その刹那に浮かぶのはネージュの太陽のような笑顔で、私は全てに遮断するために目を閉じた。
ガキィィィンと、金属音が耳を劈く。
「……え?」
だが、肝心の衝撃が全くこない。不思議に思い、ゆっくり、ゆっくりと瞼を上げる。
息を、呑んだ。
「な……、エ、エギル?」
斬撃を跳ね除ける逞しい背中。色黒の肌。それは間違いなく、数時間前までパーティーを組んでいたエギルだった。
「どうして、あなたがここに……」
茫然としながら呟けば、背後から肩を叩かれた。パッと振り向けば、これまた私のパーティーだった屈強な男たちが居て。しかし、みな一様に、表情を歪めながら私を見ていた。
「……ルーク……?」
「…………キカはHP回復しろ、な?」
「ええ、……けれど」
「いいから!」
乱暴に背を押され、モンスター達から遠ざけられる。温和な彼の思わぬ行動に目を見開くが、それ以上私は何も言葉に出来なかった。
「……こいつらは、俺たちがぶっ飛ばしてやるから」
ルークが足を踏み鳴らしながら駆けていく。赤く染まっている己のHPゲージを、ぼんやりと見つめた。
「ネージュ……」
彼が居たはずのそこへフラフラと近づき、彼が落としていった両手剣を胸に抱きこんだ。周りを見渡せばネージュが身に付けていたのか指輪も一つ落ちている。それも拾い上げて、ぎゅっと握りしめた。
「ネージュ……、ネージュ!!」
何故だか、涙は零れなかった。
* * *
外灯に照らし出される街並みは、どこか色褪せて見えた。いつもは煩く感じる人々の喧騒も遠く、上手く頭に入って来ない。
「……キカ、大丈夫か」
「ええ、平気よ」
そう短く問いかけてきたエギルは、主街区まで帰ってくる間中、なぜか歯を噛み締めて私と目も合わせようともしない。いや、エギルだけではない。ルークも、その他のパーティーメンバーも、ずっとだ。このままでは流石に明日に響いてしまう。
私はその場に立ち止まると、振り返った彼らへ向けて頭を下げた。
「さっきは助けていただき、ありがとうございます」
「いや、礼を言われるようなことは……」
言いながら、だんだんと言葉が尻すぼみになっていく。いよいよわけがわからない。
……私は彼らに助けられ、今命があるのだ。
「どうして、みなさんがあそこに居たのですか?」
「あ、ああ。……実はあのエリア、正式サービス一か月経過を祝する “経験値大量獲得”っていうイベントの専用のところらしいんだ」
なるほど、と頷く。確かに経験値の上がりが早いと、……ネージュと共に気にしていた。
「それで、このイベントに参加するには、現在ログイン中
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