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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第8話 六花が贈るメッセージ(後編)
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。……キカちゃんは、僕が守るから」
 ……それを聞いた瞬間、何故か入り過ぎていた力がすっと抜けるのがわかった。
 私は、笑みを作る。
「そういうセリフは、恋人さんに言ってあげたらどうかしら? きっと喜ばれるわよ」
「だ、だから別に、彼女なんて……っ」
 否定しようとしたためかネージュが大声を上げた瞬間、己の手を包む彼のその手を払いのける。
 ……聞こえないように、「ありがとう」と小さくつぶやきながら。
 
 姿勢を少しずつ低くしていく。そして、地面を、吹っ切るように蹴り上げた。
 まずは、正面の2体。
 包帯でグルグル巻きにされたミイラへ迷いなく突っ込み、横なぎに剣を振るう。さらに攻撃を加えようとして――――、それをせずに左へ飛んだ。
 同時に、今居た場所に大きな棍棒がぶちあたり、砂柱が立つ。
 頭を無理やりにそちらへ向ければ、そこには骨がむき出しのガイコツのモンスターが居た。さっき戦ったモンスターとは、容姿も武器も違うようだ。体長は軽く2メートルは超えていて、その身長差に当然見上げる形になる。それでも、素早く意識を前方に戻した。
「はぁっ!」
 先ほどのミイラ2体へ、確実に倒すべく、技後硬直覚悟でスキルを放つ。鈍く光るポリゴン片の向こう側で、再び棍棒を振り上げたガイコツが見えた。だが、焦らずディレイが終わったその瞬間、片手ハンドスプリングの要領で飛び退く。
 しかし、すぐに目の前を半円状にわらわらとモンスターが取り巻きだす。軽く舌打ちしながら、一掃するべく再びスキルを――――、
「キカちゃん!!」
「ッ!」
 曲刀の柄を、上へ軽く投げるようにして離した。逆手に持ち直す。そのままの流れで腕を後ろに回し、思い切り振り下ろした。
 確かな手ごたえの後、ガラスの割れるような音が複数個聞こえ、ホッと安堵する。見れば、両手用直剣を振り下ろした格好のネージュがいた。私はすばやく駆け寄り、若干HPが残っているモンスターへ剣を振り下ろす。
 ネージュが顔を歪めながらも、私に向かって振り絞るように声を発する。
「大丈夫!?」
「……話はあとよ!」
 こちらにも相手が出来る程の余裕は残されていない。
 息が上がっていくのを感じながら視線を動かすと、ずっと無視され続けているガイコツ君が、苛立ったように突進してくるのが視界に入った。私は腕を振り上げ迎撃し、そこへすかさずネージュがエフェクトを纏いながら剣を打ち込む。
 すると、さらに二体がネージュの背後に迫るのを捕えた。私は今度こそスキルを発動させ、光の欠片へ変える。
「……はっ、はぁっ」
「……へばるのには、まだ早いのではないかしら?」
 そう言いながらも、顔をしかめた。この疲労感で、まだ全体の三分の一程度しか倒せていない。その事実が、否応なく圧し掛かり、焦りを高めていく。こ
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