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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第8話 六花が贈るメッセージ(後編)
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当にネージュに助けられていた。彼がもし隣にいなければ、どうなっていただろうか。
「……え、えーと、キカちゃん? 僕の顔に何か付いてる?」
「ふふふ、そんなわけないでしょう?」
「そ、そう?」
「ええ、もちろん」
「なーんか納得出来ないなぁ」
 クスクスと笑いながら肯定すれば、不服そうに口を尖らせる。先ほどとのギャップがおかしかった。
「さて、さっき見つけた箱を開けにいきましょうか。どうせまたハズレなのでしょうけれど」
「そういうことは言わないの!」
 言いながら宝箱へと足早に走り寄って行くネージュを目で追う。その背中を見ていると、ふとあること思い出した。
「……ああ、そういえば肝心なことを聞き忘れていたわ」
「何?」
 赤い箱に手を添えたところで動きを止めた彼が、顔を上げて私に聞き返してくる。それに対して私は肩をすくめて、
「さっきの頼み事のことよ。その……、あなたが渡したいと思っている人の誕生日はいつなのかしら?」
「ああ、そうだったね。誕生日は――――」
 言いながら、その手は蓋を開けていく。
 ――――瞬間、体の芯を冷やすような、けたたましいアラームが響き渡った。
「……っ、トラップか……ッ!」
「なっ!」
 ネージュがすばやく立ち上がり、らしくない舌打ちしながら私の背に自らの背をつけてくる。服越しに伝わる体温が、何かを暗示しているようで、息が詰まった。
「くそ……、囲まれてる!」
「……ネージュ」
 ――――私はさっき、自分で思っていたじゃないか。たとえ二人でも、10を超えれば、無事に倒し切れるか分からないと。
「さっきの頼みごと、守れるかわからないわ」
「……その時は、その時だよ」 
 ああ、もう、本当に今日は厄日だ。私たちを中心にずらりと取り囲むモンスターを見据えながら、ため息をつきたくなった。赤くギラギラと輝く瞳は、私たちの体を引き裂く瞬間を今か今かと待っているようだ。
「モンスターの人気者になっても、嬉しくないんだけどな」
「……冗談言ってないで、さっさとやるわよ」
 腰に下がっている曲刀を左手でつかんだ。けれど、そこで、ほんの少しだけ迷いが生じる。
 ――――“あちら”の方が、複数相手をするには向いているのではないか。
 しかし、ほんの一筋かすった思考は、すぐに打ち破った。
 あれは、私一人で戦うために考え出したスタイル。もし複数人でやるのならば、私の他に、最低2人以上いる時ではないと適さない。つまり、ネージュと二人きりの今の状態では駄目なのだ。
 ……なぜなら、私ではなく、彼が危険にさらされてしまう可能性が高いから。ソレを使えば、私には、すぐに助けに入る術がないから。 
 ぐっと唇を噛み締めた。すると、何を勘違いしたのか、空いている右手がネージュに包みこまれる。
「大丈夫
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