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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第8話 六花が贈るメッセージ(後編)
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今日のフロアボス戦が終わった後伝えたいことがあるので、いつもの草原に来てください。待っています。
面と向かって誘えなくてごめんね。きっと言葉が出なくなっちゃうと思ったので、手紙にしました。
……あのね、僕は――――』
「……ばか、やっぱりあなた、大馬鹿者よ」
自身のストレージから、両手剣と一緒に拾い上げていた彼の遺品を取り出す。何度か操作ミスをしながらも、もう一つの遺品――――指輪をオブジェクト化した。
そして、印字されている文字を暗い中なんとかを読み取り、絶句した。
“TOUJOURS AVEC KIKA”――――。
フランス語で、『いつもキカと一緒に』。
もしかしたら、彼の名前が刻まれた指輪もあったかもしれない。そして、“キカ”と印字されていた方を彼が身に付けていたのなら、“ネージュ”と印字された方は――――。
「……ッ」
彼が贈ってきたメッセージは、……生きていたら直接伝えられていただろうメッセージの存在は、ひどく重く、私のことを貫いた。
「ねえ……、私、どうすれば良い?」
あなたの本心を、その口からしっかり聞きたかった。私の答えがどうあれ、ちゃんと聞いて、ちゃんと返したかった。
「どうして欲しいのよ、ネージュ」
知らなければ良かったなんて、そんな残酷なことは言わない。私に出会わなければ彼は死ななかったのではないかなんて、そんな無責任なことは言わない。
けれど、永遠に抜け出せない迷路に迷い込んだ気分だった。途方に暮れてしまって、もう、ここから足が動けそうにない。
隣には、手を握ってくれる彼はもういない。
改めてそのことを強く認識してしまったのに、やはり私の頬に涙が伝うことはなかった。
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