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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第8話 六花が贈るメッセージ(後編)
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 ガイコツのような容姿のモンスターが雄叫びを上げながら、粗悪な細剣の切っ先を私へ向ける。私はそれをさっと往なすと、懐へ飛び込んで切り上げた。汚い声で喚くソレを睨みつけつつ、半身を反らして攻撃を回避。その際生まれた隙に背後へ回り込みスキルを発動。私の心情を表すかのような赤いエフェクトが、スケルトンへ吸い込まれる。衝撃に前のめりになったソレが振り返る頃には技後硬直が終わり、再度剣を振るう。何度も、何度も。
「……こんなの」
 名前など知らない人間だった。当然顔も知らない、初対面の人間だった。大切な人ではなかったのだから、どうなっても良かったじゃないか。――――そう私は強く叫んでいるのに、身体は相反していた。鋭く閃く剣に、自分ですら制御出来ない感情が上乗せされる。
「こんなの!!」
 死を予期して青ざめていた男と、恐怖で泣きじゃくっていた少女。助けてほしいと、怖いのだと、二人は言っていたのに。二人には確かな未来が待っていたはずなのに。この世界も、やはりどこまでも非情なのだ。
 私の力が不足していたから、奪われたのだ。
 分かっていたことだ。わかっていた、ことのはずなのに。
「ああぁぁぁぁあああああああ!!」
 あまりに無力な己が、恨めしい。
 自身への怒りが多大に入り混じった攻撃が、幾度もスケルトンを切り裂く。いつの間にかレッドゾーンに入っていたソレのHPを、削り切った。
 ただ、ポリゴンが舞い上がっていく光景を見ていても、清々しさも何もなく。ただただあの名前も知らないプレイヤーの、悲痛な声だけが頭の中でガンガン響いていた。
「――――キカちゃん」
 気遣うような声音で、背後から声を掛けられる。どうやら、彼の方も無事倒せたらしい。しかし、どうにも振り返ってネージュを見ることが出来なくて、顔を俯ける。
「……勝手に突っ込んだのに、結局あなたに任せてしまって……ごめんなさい」
「いや、僕は大丈夫だよ。それよりも、き……」
「さっきの女の子も、死んだわ」
「そ、……そっか」
「…………」
 言葉を生み出すことが出来ない。明らかに私の判断ミスと力不足だった。私がもう少し周囲に気を配っていれば。私がもっと早く、モンスターの存在に気が付いていれば。
「キカちゃん、行こう」
「……っ」
「キカちゃん」
 あたたかい手に右手が包まれ、そのまま引かれる。彼に促されるまま歩き出した。
「…………ネージュ」
「ん?」
「……なんでも、ないわ……」
 ――――ねえ、ネージュ。
 あなたの眩しさが、優しさが、すごく痛いの。……痛いの。
 黒い世界にいる私には、あなたの笑顔を直視することがとても――――つらい。


 歩くこと1時間。
 いくつも宝箱を開けてはいるがどれもハズレで、手に入るのはイベントには全く関係なさそうな素材ア
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