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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第7話 六花が贈るメッセージ(中編)
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めていった。外れてほしい。どうか、どうかそんな無慈悲なことはあってほしくないのに。
「ナーブキアと、……≪ソードアート・オンライン≫のソフトだよ」
「……ッ、そ、それって……」
「うん。僕は、……僕が巻き込んでしまったんだ」
「ネージュのせいじゃないわ。だって、あれは……」
「確かに僕がこの状況を生み出したわけじゃない。けれど、元々ログインする予定の無かった人を巻き込んだのは事実なんだ」
 ……そんな風に、自分を責めないで。そう強く彼に言いたかった。
 しかし、ネージュが言っていることも一理あるのだ。私が否定しても気休めにしかならない。むしろ彼が私の言葉を否定して、余計に苦しめることになる。
 どうしようもなかった。悔しくて、眉を寄せる。そんな私に、ネージュは困ったように笑った。
「……とにかく、僕が渡したプレゼントはとてもそんな風に呼べる代物じゃなくなってしまったでしょ? だから、もうどうやってもこの状況は変えられないけれど、この世界でもう一度プレゼントを渡そうとしたんだ。……だけど……」
「けれど……?」
「――――けれど、『素敵なプレゼントはもらったから』って言い張って、受け取ってもらえなかったんだ」
 ……なんという、純粋な人なのだろう。聞いた瞬間持った感想に、ズキンと何故か胸が痛んだ。だが、すぐに意識的にしまい込み、それらを振り払うように彼の方を振り向く。そして、確認のために尋ねた。
「……つまり、来年のその日が来れば、今日の事はなかったことになるのね?」
 出来ればそうなってほしいけれど、と、絶対に口には出せないことを心の中で付け足す。
 ようは、自分が死んだとしても、その人に贈り物が届くようにしたいのだろう。したがって、彼が死ぬことがなければこの頼み事は破棄される、ということになるはずだ。私はあくまで保険、ということなのだろう。
 もちろん、私も来年の今頃まで生きている保証は無い。しかし、一人で抱えているよりも、二人の方がネージュの気持ちを渡せる確率は上がる。
「そういうことになるね。……近いうちに彼女のことを紹介するよ。ちょっと目立つけれど、良い子には違いないから」
 ポンと飛び出した単語に、一気に私の中の緊張の糸が切れたような気がした。私はニヤリと笑みを作りながら、
「……彼女? ずいぶん大切にしているみたいだし、もしかしなくても恋人かしら?」
「はぁっ!?」
 一瞬呆けたような表情になったネージュは、やがてだんだんとその頬を赤く染めていく。少し意地悪をするつもりで聞いたのだが、予想以上の反応だ。気分が良い。
 すると、パクパクと魚みたいに口を動かしていた彼が、何とか平常心と取り戻したようで、視線を泳がせながらつぶやく。
「そういうんじゃないよ。……なんというか、その、僕の家族というか……」

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