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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第6話 六花が贈るメッセージ(前編)
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展せず、事態は悪化するだけなのだ。だから、鎮まれ。
「仮にここがダンジョンだとして……、普通のマップを繋がっていたとするならば、もしかしたら知っている道に出るかもしれないわ」
“もしかしたら”を多大に含むその仮定を、自身に無理やり飲み込ませる。ねじ込ませる。
……そう、それならば、ここに留まっていても仕方がない。とりあえず歩こう。幸いマップ機能は動いているだ。スタート位置に戻って来ることは出来る。
己に言い聞かせ、そろりと足を踏み出した。どっちへ行こう。どちらが正しいのだろう。前か、後ろか――――。
早くも迷いが生まれて眉を寄せる。が、その瞬間、ガサリという、私が発したものではない物音がいやに鮮明に耳を打った。間髪入れずに振り返ると、私と目が合ったそのプレイヤーは口をあんぐりと開けていて。
「……き、キカちゃん!?」
何かこのシチュエーション、昨日もあったような気がする。
そんな的外れなことを思った瞬間、全身の力が抜けてその場にへたり込んだ。ひどく狼狽した顔でこちらへ駆け寄ってくる姿を両目で捕えながら、金色の青年の名前を呟く。
「……ネージュ……」
ああ、なんてことだろう。足が、力の入れ方を忘れたと言わんばかりに動かない。
私へと差し伸ばされる優しくて大きな腕を、ぼうっと見上げていた。
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