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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第6話 六花が贈るメッセージ(前編)
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が……」
「ログ? 何か出てきたか?」
「こっちは何も出てないぞ」
場を一気に不穏な空気が包む。エギルが不可解そうに眉を顰め、他の面々も不安げな顔を私に向けてきていた。
「キカ、それに何て書いてあるんだ?」
静かに、……いや、恐れを滲ませたような押し殺した声で問いかけられる。おそらく、全員の脳裏に、あの血の色をした空が過ったのだ。
この世界は、何が起こるか分からない――――そう、私が口にしたばかりなのだから。
それは私も同じで、恐怖にも似た言い知れぬ感情が体の中心で渦巻く。カラカラと、口の中が乾くような感覚に襲われながら、何とかその一言を紡いだ。
「“当選おめでとうございます”」
いよいよ全員に緊張が走る。クエストログには、あまりにも相応しくない文面だ。というか、そもそも“当選”とは何のことなのだ? 私は何に選び出された?
「キカ、一応聞いていいか?」
「……何かしら」
「お前、今何かクエストを受注しているか?」
「いいえ、何も」
簡潔に淡々と答えたが、内心は穏やかでは全くない。
何だ、これは。何だ、この嫌な予感めいたものは?
「――――キカ! 戦い方については十分確かめられたし、もう主街区に戻ろう!」
強張った表情のルークに思い切り腕を引かれる。慌てて彼らを見渡せば、皆一様に青白い顔色をしていた。
この異様な事態を考えれば、確かに街へ一旦戻ったほうが良いかもしれない。今やるべきことは親睦を深めることなどではなく、情報を集めることだ。
私もそう結論付け、頷き返そうとして――――、
「……え?」
目の前が、体が、青白く染まっていた。体の底から浮き上がるような感覚が迫ってくる。
これは、“あの日”と同じ感覚だ。あの、チュートリアルの会場へと強制的に飛ばされた時と。
「キカ!!」
青い光が一層強くなった刹那、エギルのがっちりとした腕が伸ばされる。私はそれを掴もうとして、しかし、叶うことはなくフッと視界のすべてが青でいっぱいになった。
* * *
ピーチチ、チチチ。鳥たちの囀りが、聞こえた。
知らず知らずのうちに閉じていた瞼を少しずつ持ち上げると、最初に飛び込んで来たのは深い緑だった。その次に、茶色。
そこでようやく、ここは森の中なのだということを理解する。
「こ……ここは……?」
見たことの無い場所だった。そりゃあ行ったこと無いエリアくらい当然あるだろうが、それにしたって不思議な空間なのだ。しかし、あんな強制移動をされた先だ。“普通”なわけが無い。
状況に呑まれたせいでいくらか早くなっていた鼓動を押さえつける。大丈夫、落ち着け。こういう時こそ冷静に行動すべきなのだ。
森の澄みきった空気を深く吸いこむ。ふーっとゆっくり吐き
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