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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第6話 六花が贈るメッセージ(前編)
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くりと動いたような気がしなくもないが、綺麗さっぱり無視してニッコリと笑顔を作る。
「いいえ、私、本当は右利きですよ。ちなみに、両利きでもありませんし、何か特定の行動だけ利き手が違うってわけでもありません。システム的に動かない、なんてことでも無いですよ」
左手で曲刀をもてあそびながら、「ほら」と言って、右手をグー・パーと数回動かして見せた。彼らはポカンと口をあけ、フリーズしたかのように動きを止めた。しかし、やがてその表情は驚愕にかわり――――、
「つまり、利き手とは逆で武器を持っているのか! 相当難しいはずだろう!?」
「全く危なげなく剣振るっていたよな!?」
ぐわっと身を乗り出して、今にも掴みかかられそうな勢いで五人に迫られる。
……特にエギルさん。あなたは素晴らしいほど迫力満点なのですから、そんなに目を見開かなくても十分です。
少しばかり勢いに圧倒されながら、それでも笑顔を保ちつつ、何の気負いもせずに言った。
「だって、曲刀を手にした瞬間から左手だったもの。一週間もそうしていたら、慣れてしまうのがふつうじゃないかしら」
しかし、さらりと口にした発言が、まったく不足なく、爆弾と同じ威力を持っていたようで、彼らはもう口をパクパクとするだけで声すら出ていない。
さっきまでの静けさはどこへ行ったのか。ただ、盛り上がっている、というのには少し空気が違う。端から見れば、違和感を覚える光景かもしれない。
およそ2分。
なんとか落ち着きを取り戻しつつあるエギルに問うた。
「そんなに驚くことかしら?」
「……そりゃ、びっくりするってもんだろ。遊びでプレイスタイルを変えることもあるだろうが、この生死に関わる世界でなあ……」
「そう、かもしれないわね。何が起こるか分からないのが、この世界だもの。……でも私は、“無駄”なことはしないわ」
私は、無駄が大嫌いなのだ。
行動しているからには、ちゃんと相応しい理由がある。
「だって、右手でしか出来ないことがあるでしょう?」
「右手?」
「そう。……まあ、ふさがったからと言って、完全に出来なくなることではないのだけれど……」
私にとっては、“それ”をすばやく出来ない方がまずいから。
「それって……、何だ?」
「ふふ、何でしょう?」
漫画ならクエッションマークがいくつもエギルの頭に浮かんでいるだろう。自分の右手をながめながら首を傾げている。私は苦笑いを作りながら、
「解らなくても別段困るわけではないのだから、そんな真剣に考えなくてもいいわよ。……さて、もうそろそろ行きましょうか。もうすぐ迷宮区に着きますし……」
片足を前へ出し、……しかしそこで言葉も動きも止まった。エギルとルークが、驚いたように私を見ている。
「どうした、キカ」
「い、いえ……クエストログ
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