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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第5話 君の瞳、僕の瞳(後編)
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て、そんなことない」
 彼は私が隣に腰を下ろすのを目で追いながら、ハッキリと言い切る。そして、とんでもない事をのたまった。
「君に会えるじゃないか」
「……ばっ、バッカじゃないの!」
 ああ、感情表現がオーバーなこの世界が憎たらしい。大声で暴言を吐く私の頬が火照る。自分でも分かる。彼の前で真っ赤な顔を晒しているはずだ。それなのに、おかしそうに笑いう彼は言葉を止めない。
「僕ね、キカちゃんのこともっと知りたいんだ。前も言った通り、僕は何も知らないからね」
「…………よくそんな恥ずかしいことが言えるわね」
「ん、何の事?」
「いいから、さっさとその口を閉じなさいよ!」
 バシンと思い切りネージュの肩を叩く。痛い痛いと、顔を綻ばせながら彼は痛がるフリをした。その様子を、目を細めて呆れの視線を送る。
 ただ、私も、ネージュもその場から立ち上がることはしない。何も言わずに肩を触れ合わせて、きらめく星々を見上げる。
 これが、約二週間かけて作り上げた彼との関係だった。およそ一ヵ月前――――この世界に入る前の私からすれば、考えられないような事だと思う。協力者を作ることは出来ても、“友人”や“仲間”なんて、自分とは縁遠いものだと思っていたのに。
「……それで、今日はどうしたの?」
「うーん、特に何もないなぁ」
「まったく、あなたって人は……。というかいつも思うのだけれど、あなた、ちゃんとレベル上げとか攻略はしているの?」
 何だかんだ言いつつ、迷宮区近くの村まで通って来られるのだ。それなりにレベルのあるプレイヤーのはずだ。刺々しさの中に若干の心配を潜ませて、青年に問う。
「ちゃ、ちゃんとやってるよ」
「本当かしら」
「ホントホント」
「……へえ」
「な、何か顔怖いよ、キカちゃん?」
「そんなことないわ。あなたの気のせいよ」
「だから、その笑顔が怖いんだってば。……そうだ、なら今度パーティー組もうよ。一緒にレベル上げでもしない?」
「…………別に、良いけれど。どうしてそんな話になるのかしら?」
 ネージュは自分の胸をドンと叩き、
「僕がちゃんと戦えるって所を見せてあげるよ!」
「……はあ? ますます意味が分からないわ」
「いいから、いいから! ……それに、キカちゃんだったら――――」
「私だったら……何よ」
「……ううん、何でもない。でもきっと、良い子だからキカちゃんとも仲良くなれる……」
 ふっと、哀しげで苦しそうな面持ちになった。彼はコロコロとその表情を変えるが、こんなつらそうな顔は見たことがない。
 私はつい眉をひそめる。ネージュには似合わない。
「……そうそう、今日街で聞いた事なのだけれど」
「うん?」
「明後日、第一層フロアボスの攻略会議をトールバーナの広場で開くらしいわ。何でも、もうそろそろボス部
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