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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第4話 君の瞳、僕の瞳(前編)
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いんだ」
眩しい。
……眩し過ぎて、イライラする。
「そんなことを言っていたら生き残れないわ。綺麗事が通じる世界ではないもの」
――――俺を信じて。モミ。
「はじめから裏切られることを考えていれば、余計な痛みを被らないわ!」
――――ああ、やっぱり。兄さんもなんだね。
「キカちゃん」
「……私は、そんな純粋に人を信じられない」
蒼眼の青年が足を止めた。彼がこちらを見ている気がして、私は俯いて逃げる。主街区の門はもうすぐそこだ。
「……キカちゃんはさ、怖いんでしょ」
「――――ッ」
「怖くて、震えてるんだね。温もりが全部偽りに思えて、ずっと凍えているんだ」
ネージュの柔らかい声が耳を撫でる。塞いで、遮断してしまいたかった。
「理解しているような事を言わないで。私の事なんて、何も知らないじゃない」
「そうだね。知らないよ」
あっさりとした肯定に、思わず顔を上げる。真剣な色を滲ませる2つの目と正面からぶつかった。
「キカちゃんの事は、何も知らない。でも、それで距離を置くなんてもったいないじゃないか」
再びネージュが歩き出したので、私も遅れて後を追う。
「知らないなら、……信じるのが怖いなら、これから知っていけば良いんだよ」
するりと、じんわりと、ゆっくり染み込んでいく。いつの間にか消えていた指先の感覚が戻ってきた。
「もしもその途中で無理だと思ったのなら、別に頑張らなくてもいい。けれどはじめから諦めてしまうのは良くない」
「……その結果で、自分が傷つくとしても? 裏切られたと、後悔しても?」
「その時は、自分を誇りに思えば良いんだよ」
「は?」
清々しいくらいの明るい笑顔が顔いっぱいに浮かぶ。まるで彼の髪色だ。だが、意味がよく分からない。あまりよろしくない声色を出して睨み上げる。
「誇りに思う? ……どうしてよ、むしろ情けないくらいだわ」
「情けなくない。凄いことじゃないか」
「……どこがよ」
「だって“裏切られた”って思ったってことはさ、それだけその人のことを信頼していた、って事だと思うんだ」
黄金色が夕日を弾いて目に刺さる。直視出来なくて、そっと視線を外した。
「だから僕は、たとえその人のせいで傷ついたとしても後悔しない。自分ではない誰かを心の底から信じられた自分を、誇りに思うんだ。それで胸を張って、笑ってその人に手を振ってやるんだよ。ありがとう、って」
朗らかに目元を緩ませて、しかしハッキリと言ってのけた。迷いを感じさせないくらい強く、だがそれと同じくらい優しさが伴っている。
きっと彼はその言葉通り、たとえ痛みで苦しんだとしても悔いることはしない。確信できる。ネージュの心は大木の根なのだ。揺らぐことは無い。
「……本当、馬鹿だわ」
「え、ひっどいなぁ。結構真剣なん
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