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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第4話 君の瞳、僕の瞳(前編)
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、たまに短い言葉を返しているだけだというのに。
「ねえ、お礼がしたいからさ、今夜食事でもどう?」
「……ごめんなさい。遠慮しておくわ」
「あ……、そっか」
一瞬残念そうに眉を八の字にしたが、すぐさま笑顔を浮かべて、
「じゃあ、街に着いたらちょっと付き合ってくれない? 寄りたいところがあるんだ」
「……どこに?」
「それは見てのお楽しみ!」
「……」
「少しだけでいいから!」
ね? と、懇願するように見詰められて息が詰まる。顔を明後日の方向へ向けた。しかし彼が私をじっと見つめているのがヒシヒシと伝わってきて、内心辟易としながらも、
「……30分よ。30分だけ、その寄りたい場所とやらに付き合ってあげるわ」
左手で自身の髪を撫でながら彼を見れば、ぱあっとネージュの表情が嬉しそうに輝く。これ以上にないほど笑みを浮かんでいた。
「やった!」
「まったく……、迷わないでちょうだいね」
彼のあまりの喜びように少し呆れながら一応そう言えば、
「大丈夫! 主街区の地理はこの2週間を掛けて覚えたから!」
「あなたそれ、SAOが始まってからずっと迷っていたってこと? 今まで何をしていたのよ」
「え、ちゃんと覚えたよ?」
「いえ、そうじゃなくて――――、……ああもう、いいわ」
はあー、と深く息を吐き出す。
それにしても、つい数十分前に会った人と私は何をやっているのだろう。やはりこんな約束はせず、さっさと別れるべきだったのか。けれども、今更反故にするのは気が引ける。適当に付き合って、満足してもらおう。
「……それはそうと、どうして私なんかに声を掛けたの? あんなところに迷い込む前に、一人くらいプレイヤーとすれ違ったでしょうに……」
あの時間なら、攻略を切り上げて街や村へ戻るプレイヤーも多いだろう。その中には、当然パーティーだってあったはずだ。そのほとんどの人は、一緒に圏内へ戻りたいと言えば了承してくれるはず。こんなデスゲームならば尚更。
それなのにネージュは声を掛けず、その結果本格的に迷い、あの深い森を抜け村へ――――。まあそもそも森に入った時点で気付きそうなものだが、それは今ここで追及するべき問題ではないだろう。
ともかく、パーティーは組めなくとも相談すればほぼ確実に共に行動してくれたであろうプレイヤーには声を掛けず、森を抜けた先でロクな装備もなく一人座っていたプレイヤーに声を掛けた。
どちらを信じるかと問われれば、後者のほうが明らかに怪しいと答えるだろう。私なら見つけた瞬間、音を立てないように逃げる。仮に悪意のある人では無かったとして、ちゃんと取り合ってくれるかは分からない。ましてや、一緒に街まで行ってくれるかなど。実際私も、本当に気まぐれで彼と一緒に歩いているのだから。
だとするのならば、彼は危険
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