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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第4話 君の瞳、僕の瞳(前編)
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 そう、どこかの村に行こうとして迷ったならまだ理解出来る。彷徨っているうちにこの村に辿り着いてしまったのだ、と言われても納得出来るだろう。しかし、しかしだ。主街区なんて、マップ上でもかなりの面積を誇っているのだ。どこに迷う要素があるというのだ?
「僕、かなりの方向音痴でね?」
「……へえ」
「地図もね、結構苦手なんだ」
「…………そう」
「だからその、道を教えてほしいなぁー、……なんて」
「………………」
 さっきまでの警戒心が嘘だったかのように霧散し、代わりにどっと疲れが押し寄せる。額をおさえながら、息を深く吐き出した。青年の顔を窺えば、彼は心底困ったような感じで、とても嘘を言っているようには見えない。というか、騙すつもりならもっとマシな嘘を吐くだろう。私は唇を噛み締め、目をキツくつぶる。
「……送るわ」
「え」
 あんぐりと口を開けて私を見る彼に少しイライラしつつ、言葉を重ねた。
「だから、主街区まで送ってあげるって言っているの」
 信じられない、とでも言いたげな彼からフイと目をそらす。
「ちょうど、ポーション類を買いたいと思っていたし――――」
 近くの村で済ませていると言ったのはどこのどいつだ。
「どうせヒマだったし」
 おい、効率主義者。
「何より別れた後でまた道に迷うかもしれないじゃない。それで死なれたら困るわ」
 ……困るって、誰が?
 というか、どこに困る要素があるというのだ。私と彼は知り合ったばかりの他人で、死のうが何の関係もないのに。そもそも私は、あんなに人と関わることを拒んでいたはずではないか――――。
 意味が分からない。自分の口から飛び出ていく言葉の意味が、完全に理解不能だ。
 ほら、彼も唖然としたような顔をしているじゃないか。早く発言の撤回を……。
「ホントに?」
「……へ」
 何で。
「ホントに、送ってくれるの?」
「え、ええ」
 何で、そんなに嬉しそうなんだ。
「こんな私がナビゲーションで良いのなら……」
 どうして。
「十分だよ!」
 どうしてあなたは、そんな太陽のような眩しい笑顔を私に向けるの?
「僕、ネージュっていうんだ。よろしく!」
「わ、私はキカよ」
 手を差し出してくるので、思わず握り返した。ネージュはますます嬉しそうに破顔する。


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 その目が眩むような表情に、私はどうすればいいか分からず顔を伏せた。そして、自分でも聞き取るのがやっとの声量でポツリと言う。
「……よろしく、お願い致します……」

 さっきまであんなに不気味に見えていた夕焼けが、ひどく綺麗だった。



*   *   *



 ネージュは、ずっとニコニコと楽しそうに私の隣で話していた。私はただ相槌を打ったり
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