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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第3話 狂っているモノは何?
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ないのよ。……すなわち、必須とされてない“食事”という行為は――――」
息を深く吸い、一気に吐き出す。
「“無駄”よ」
岩をも砕くように、冷たく言い放った。彼らは恐れるような、憐れむような色を浮かべる。だが、いち早くそれらを消し去ったエギルが食って掛かるように口を開いた。
「だ、だが、……現実世界に還ったあとのことを考えたら……、とても良い行動とは思えないんだが」
「あなた達にはきっと意味が解らないだろうけど、……向こうの私は、もう死んでいるのよ。今更だわ」
「……は?」
彼らの顔がますます混乱を極めていく。理解出来ないのだろう。仕方がない。……仕方がないのだ。
私は、目を細めてエギルを見詰める。そっと、空気に溶け込むように言葉を吐き出した。
「私にとって、ここが現実世界だもの」
気にするようなことではないじゃないか。
静かな笑顔を作った。だが、瞳はよほど冷たい色をしているのだろう。エギルをはじめとした男たち全員の体が揺れ、動きを完全に止めた。
それを見て、なるべく雰囲気が緩まるように気をまわし、口元を笑みの形に保ち続ける。
……この反応が、正しいものなのだ。きっと。
私は、常人ではないのだから。
それは、この世界が形を変えた瞬間に、明らかだっただろう。
――――あぁ、やっぱり、狂っているのは私。
世界でも、他のプレイヤーでもない。たった一体紛れ込んだ化け物の私が、狂っているのだ。
「……もし、パーティを組む気が変わっていないのなら……、明日、さっきの広場で待っているわ」
返事は待たずに背を向けた。腰下まである髪が揺れたのが自分でもわかる。
しかし、そのまま迷わず足を踏み出し、人混みをかき分けながら進んだ。ちらりと後ろを見ても、すでに色とりどりの装備をつけた人々で壁が出来ていて、もはや今居た場所を視界に入れることすら叶わない。
「たぶん、来ないでしょうね」
誰からも返事が来るはずがないつぶやきは、人々の喧騒にかき消された。私自身も聞こえなかった程、きれいに。
仕方がない。これが当然なのだ。異物が奇異に映るのは、ヒトとしての当然の防衛反応だ。
自然と歩むスピードが速くなる。人が密集している所為なのか、嫌に息苦しかった。早く、はやく、空気を吸いたい。焦れる気持ちを宥めながら、知らず知らずのうちに足元を見ていた顔を上げた。
「……ぁ」
瞬間、冷たい電流が駆け抜けた。うるさいほどの周りの音が、急速に遠くなる。
――――黒いコートに、黒いインナー。風になびく少し長めの漆黒の髪。同じ色をしているどこか憂いを帯びた瞳。
見紛うはずもない、かつて“兄”と呼んでいた存在。
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焦燥。
腹の底から湧き上が
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