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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第3話 狂っているモノは何?
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戦い続け、上を目指そうではないか。
 何よりサチがそれを望んでいるのだ。叶えるためなら、どんな代償も惜しくない。過程で死んだとしても悔いることはしない。
 私が、サチを解放する。この世界を壊すのだ。
 そして、≪ソードアート・オンライン≫が消滅した時が、今度こそ私が死ぬ瞬間だろう。
 この世界が消えれば、生を受けた私も消えるのだから。

 至近距離に顔があるサチに悟られぬよう、吐息とともに嗤った。
 ――――結局、どこへ進もうが、どう歩もうが、どんなに足掻こうが、私に待っているのは死だけなのだ。







 突き抜けるような晴天。頬をくすぐる風を感じながら、何度目かのため息を飲み込んだ。
 あの日から、約一ヵ月が経った。
 現在第一層フロアボス攻略会議に私は出席しているわけなのだが、あまりにも相応しくない議論を繰り広げるプレイヤーに、呆れを通り越して尊敬の念すら抱いてしまう。
 だいたい、ベータテスターがどうのこうのなど、今話すべきことでは無いのは明らかだろう。そんな下らないものを、大勢を巻き込んでやらないでいただきたい。
「馬鹿らしい……」
 そんな言葉が漏れてしまうのも仕方がないはずだ。本当、やっていられない。
 石段に座った状態で折った膝に頬付けを付く格好は、さぞかし不真面目な印象を与えているだろう。しかし、これくらいは許してほしい。
 それに私にしてみたら、今は攻略会議どころでは無いのだ。正直言って、即刻この場を立ち去りたい。そして一刻も早く対策を練りたいというのに。
 自制していた溜め息が、今度こそ漏れた。
 しかし顔を俯かせる姿勢を保ち、自然に長い黒髪が顔を隠してくれるように身をよじる。
 ……まったく、ここまであなたと被りたくはないのに。
 ちらりと目だけを動かし、後方にいる“彼”の姿を見た。その姿を再認識して、また溜め息が出そうになる。
 まさかね、とは思っていた。だが、そのまさかが現実になるとは思わなかった。
 彼は私の事故の後から、どっぷりとゲームにはまりだした。そんな彼がこの世界に目をつけたのは、何らおかしいことではない。
 だがそれにしたって、まさかこんなことになるなんて。
 というか、今の今まで“彼”もこの世界に来ていることを知らなかったのだ。本当にどういうことなのだろう。幸運の女神とやらが、私にもまだ微笑んでくれているのか。……あぁ、もう面倒くさい。億劫だ。そう考えよう。考量すべきはそこでは無い。
 それに、私が主街区まで出てきたのは数えるくらいだ。今までの一か月間、ほとんどを迷宮区近くの村で過ごしていた。おそらくその影響が大きかったのだろう。別に狙っていたわけではないが、結果論としては大変好ましい。
 まあ何にしても、今日はシステム的に補正でもかかっているので
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