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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第3話 狂っているモノは何?
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。今私が握っているのは、仮初のものでは無い、本物の己の命なのだ。
 HPが0になれば死ぬ。そこに不純物は一切混入していない。ここはすでに、私にとって現実世界なのだ。世界は在るべきだったはずの形を変え、代わりに私の望んだ通りの姿となって動き始めた。ありえるはずがない、と思っていた世界に、私は今居る。
 おそらく私は、かなりエキセントリックな人間だろう。泣き叫び、怒号を飛ばし、蹲り震える人々を理解出来なかった。不思議でならなかった。なぜ、という疑問ばかり渦巻いて、行き着く場所も無く私の中に積み重なっていく。
 一体、何が狂っているのだろうか?
 私か、私以外の約1万人のプレイヤーたちか。
 向こうの世界か、≪ソードアート・オンライン≫か。
 もちろん、私にとっては、向こうの世界の方が狂っていた。
 私から何もかもを奪っていくのだ。損なわせることしかせず、与えられるものなど何もない。
 一方、この世界はどうだ?
 何かを奪われる時があったのならば、それは自らの力不足のせいだ。弱いから失うのだ。力が及ばなかったから奪われるのだ。よって、少なくとも自分自身の命に関しては、理不尽で失うことは無い。それは相手がモンスターでも、プレイヤーでも、その他エトセトラのダメージであっても変わらない。
 その時――――、死神の鎌が振り落とされ首が飛んだ時は、私は己の不足分を呪う。
 そして、死を甘受するのだ。
 ……ただ、それでも。それでもサチだけは、絶対に亡くしたくない。
 彼女は、……彼らは私の光だ。あの狂った世界で、私を見失わんとして手を引き続けてくれた。サチはその中の一人。
 そんな彼女を、彼女自身が望んでいない世界で死なせたくない。

 実のところ、いわゆる世界からの解放――――つまるところ攻略なんて、私にしてみたらどうでもいい。むしろ、その逆を望んですらいる。
 ようやく己が“生きること”が出来る場所に来ることが出来たのだ。なぜ、自らその場所を削るなんてことを思えるのだろうか。
 だが、単に“生きる”と言っても、何もしないのでは実につまらない。空しく真っ暗な生活など真っ平御免である。落ち葉のように重力に従って落下し、水のようにただただ淡々と過ごす日々など、そんなもの生きているとは言えない。向こうの世界で過ごした時間と、何が違うと言うのだ。目標の無い生活なんて、ただ疲れるだけなのだ。
 周りに望まれるまま虚像の“生”を引き延ばされた。私の意志は伴わないまま。起きて、食べて、寝る。それを作業のように繰り返していた。
 だが、今は違うのだ。己が望んだものを手に入れたではないか。せっかくもう一度“生”を掴みとれたのに、向こうの世界と同じように漂うなんて、そんなことはしたくない。
 ならば、本来のこの世界の姿に乗っ取り、最前線でモンスターと
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