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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン49 鉄砲水と天部の舞姫
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置かれた時にどう動けるかなんてこと、まったく想像もつかない。もちろん理想としては、今の明日香のように最後まで誇り高くありたいと思う。だけどこんな極限の状態に置かれた時、僕からどんな本性が出るのか……僕自身にすら、まるで想像がつかない。

「さあ、攻撃してきなさい!」
「き……霧の王で、サイバー・ブレイダーに攻撃!ミスト……ストラングル!」

 霧の王 攻4100→サイバー・ブレイダー 攻3700
 明日香 LP300→0

 本当に。このデュエルではたまたま僕が勝ったけど、明日香にはかなわないなあ。





「ありがとう、明日香。僕とデュエルしてくれて」
「気にしないで。少しはいい顔になったんじゃないかしら?私もよかっ……」

 最後までその台詞を言うことはできなかった。待っていたといわんばかりに光り出すデスベルトにデュエルエナジーを吸い取られ、その場に半ば倒れるように座り込んだのだ。

「明日香!剣山、早く保健室へ!」
「わ、わかったドン!」
「大げさね、十代。少し休めば、すぐによくなるわ……」

 無論僕も吸い取られるエナジーは一緒、当然無事ではすまない。しかしダークシグナーと人間の体力の差か、チャクチャルさんが負担の一部を肩代わりしてくれているからか、僕の場合は手近な壁に身をもたれさせてどうにか一息つく程度で済んだ。とはいえさすがに疲れがたまってきたので、何か別の話題をして気を紛らわすためずっと気にかかっていたことを聞いてみる。

「そうだ。そういえばさ、夢想はどこにいるの?全然見つかんないんだけど」

 そう言った瞬間、明らかに場の空気が変わった。皆がすっと目を逸らす中、剣山と十代に肩を貸してもらって起き上った明日香が弱々しく話し出す。

「それよ、清明……だから私は、貴方のためだけじゃなく彼女のために怒ったの……」
「無理すんなよ、明日香。少し休んでろって」
「いえ、これは私に言わせて……あのね、清明。貴方が行方不明になった時、一番心配してたのは彼女だったの。だから彼女は研究所に向かうのを諦めて、1人で貴方を探すんだって……」
「そ、それで……?」

 ここまで聞いたところでもう予想がついたが、それでも聞かなければいけない。抑えようとしても抑えきれない声の震えを感じながらの問いに、明日香もまた返事を返す。

「さっき貴方が来る前、この世界に来たアカデミアの人たちを全員集めてみたんだけど……多分彼女は、この世界には来ていないわ」
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