ターン49 鉄砲水と天部の舞姫
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れがまた新たな言葉を生み、何とも情けないことに全身を震えさせながらも言葉を繋ぐ。
「本当に……もう、駄目だね……ごめん、皆」
もはや立っていられなくなり、ずるずるとその場にへたり込んでいく。完全に膝が折れる寸前、僕の両肩をすらりと伸びた腕が強引に支えた。
「っ……!いい加減にしなさい!」
「明日香……」
これまで一言も僕とは口を利かなかった明日香が、ついに感情を爆発させた。半ば引っ張り上げるようにして僕を再び立ち上がらせると、カツカツと足音を立てて教壇の方へ歩いていく。ぽかーんとそれを見ていると、キッと振り返って刺すような視線で睨みつけてきた。
「来なさい、清明。そこまで言うなら私にも考えがあるわ、デュエルでその根性叩き直してあげる」
「え!?」
「お、おい明日香、少し落ち着けって……」
「十代は黙って!……さあ清明、こっちに来なさい?」
まっすぐな性格の明日香にとって、今の僕はそれほど見てられないのだろう。それはよくわかる。仮に今の僕を去年の今頃の僕が見たとしても、ここまで怒るかどうかはともかくイライラしてしょうがないだろうし。
「駄目だよ明日香、この世界でもデスベルトの仕組みはまだ生きてる。ここでデュエルなんて始めたら、後でどんなことになるか……!」
「もちろん知っているわよ。でも、関係ないわ。貴方がいつまでもそんな調子だから……いえ、今は言わないでおくわ。ただ、本当に申し訳ないと思う気持ちがあるなら、ここで勝負から逃げるような真似はできないはずよ」
なんとはなしに含みのある言い方が多少引っかかり、ふと思い立ってさっと後ろを向く。綺麗に全員目を逸らしたところを見ると、どうやらここの皆も知っていることらしい。その話も気になるけど、その次のセリフの方が気にかかった。
「勝負から、逃げる……」
「ええ。それでもまだくだらない言い訳をして後ろを向くなら、私もこれ以上それを止めはしないわ。その代わり、ここにいる誰も2度とあなたに手を差し出すような真似はしないと思いなさい」
数秒ほど下を向き、明日香からの最後通牒をじっくりと噛みしめる。言い方には棘があるけれど、これもつまりは明日香なりの優しさなんだろう……多分。やがて決心がつき、顔を上げて教壇からこちらを見据える彼女の顔を見上げる。
「明日香はきっついなあ……でも、ありがと。それじゃあひとつ、デュエルと洒落込もうか……!」
同じく教壇に立ち、その端と端にたがいに陣取る。デュエルディスクにデッキをセットし、オートシャッフル機能を作動させる。ライフポイントの表示がカシャカシャと増えていき、やがて4000で止まる。その様子を見つめながらも、頭の中は既にこれから始まるデュエルのことが大部分を占めていた。僕はこのデュエルを経て、何
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