冴島 大河
第三章 内部崩壊
第一話 迷い
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夜明けの数時間前。
冴島達は、真島の事務所がある神室町ヒルズへと向かっていた。
足立の事務所が火事で焼け、今は近付くべきではない。
そう考えた真島が、自身の事務所へ行こうと提案した。
花屋を頼ろうと連絡するが、何故か今は不在。
とりあえず身を隠す場所に向かって、歩みを進めた。
人混みが途切れぬ神室町の道をひたすら歩き、ようやく神室町ヒルズへと辿り着く。
前に起こった、足立と喜瀬の銃撃事件の名残で警察がちらほら歩いている。
それも気にせずエレベーターに向かい、最上階に近い場所のボタンを押した。
エレベーターの待ち時間、沈黙を破ったのは大吾だった。
「冴島さん、Yについてなのですが……」
「何や気になることでも?」
「えぇ。今数人に絞って考えてるのですが、そのうち2人は宮藤の兄弟分なんです」
「ええ加減、名前教えてくれや6代目。ワシらもそいつらに対して、対策とれとった方がええやろ」
チーンと軽い音が聞こえ、目の前の扉が開く。
麻田と大吾と真島が先に乗り込むと、残った冴島が秋山の方に向き直った。
「秋山はどないするんや?」
「えっ……?」
「お前は堅気や。桐生の居場所もわかったし、後は東城会で何とかできる。それなのに、お前はまだついてくるんか?」
秋山は少し俯き、苦い顔をみせる。
「正直、迷っています。桐生さんの居場所も見つかって、再会出来たら遥ちゃんも俺もそこで手を引こうかとも思っていました」
遥という名に、冴島は懐かしさを覚えた。
桐生の連れ子で、しっかりした少女という印象。
何度か顔を見かけ、そう思った。
「政治家の田宮さんの死から、ここまで大きくなるとは正直思っていませんでした。今でもまだ震えてますよ。でも、遥ちゃんと約束したんです……桐生さんを取り戻すと……」
迷いはまだ残る瞳。
だが前に進む意志があるその眼差しを見て、冴島はエレベーターへと促す。
「桐生を助けたら、それ以上は手を出すんやないで」
「いや、まだ嫌な予感がするんです。もっと他の何かが……」
「つもる話はあとっすよ!!早く行きましょう!!」
エレベーターの中で声を上げる麻田に、秋山は思わず苦笑いを浮かべる。
「とりあえず今は上がりましょう、冴島さん」
「……せやな」
2人が乗り込むと、エレベーターの扉がゆっくりと閉じた。
再び動き出すエレベーター内で、今度は大吾が喋り始める。
「真島さん、屋良と湯川をご存知ですか?」
「そりゃ、何度か幹部会で顔合わせたんやけど。もしかして6代目が疑ってるって……そいつらかいな」
「Yを持つ者で宮藤達と繋がりがあるのは、その2人しかいません。対等な五分の盃ではありませんが、宮藤
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