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101番目の舶ィ語
第十五話。最悪の都市伝説
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で乗ったことのあるような気がするのだ。

「ここも……『ロアの世界』なのか?」

「うん、そうだよ。ここはANA600便を再現したところ。
もし、あの時、お兄ちゃんが来なくて、アリアが一人で『武偵殺し』と戦っていたら……っていう世界。
『H』の真の能力を発揮できなくて、武偵殺しにアリアは負けて、そしてこの飛行機も墜落する……そんな世界。或いはお兄ちゃんが間に合っても、不時着に失敗する世界。操縦機材が全て狂って制御が効かなくて墜落してしまう世界。
この世界は『もし、ANA600便に不測の事態が起きて墜落したら?』という噂から成り立つ世界なんだよ!」

「そんな世界も再現出来るのか?」

「うん、私は『悪戯妖精(グレムリン)』のロアでもあるからね。だから過去、現在、未来で起きるありとあらゆる航空機事故、事件を再現出来るという逸話を持ってるんだよ」

なんだよ、そのチート能力。
隙間女だけでもやっかいなのに、さらにやっかいじゃねえか!

「それでお兄ちゃん……自分から来てくれたってことは私と結婚してくれる気になった、ってこと?」

「そうだね。その返事をしに来たんだよ」

俺はかなめの隣の席に腰掛け、そしてかなめに向き合う。
かなめの暴走を止める為とはいえ、これからすることはかなめを傷付ける行為かもしれない。
だが、俺はどうしても守りたいものがあるんだ。
だから……すまん。かなめ。
俺にはこうすることしか出来ないんだ。
俺は顔をかなめに近づけて、その唇に自身の口を押し付けた。
ああ、やっぱりかかりは甘いが……かなめでもなれる(・・・)んだな。
ヒステリア性の血流が高まるのを感じながら、俺は舌を絡ませるように。
かなめを弱らせる為、キリカ直伝のキスをしてやった。

「ぷはぁーっ……どうだかなめ。兄のキスは凄いだろ?」

かなめの顔を見ると、キスをされたかなめは……。

「はっー、はっー、だ、ダメ。こんなことしちゃ……ダメっ……!」

さっきまで俺にされるがままにキスされていたのに、その手を俺の胸に押し付けるように、拒んで(・・・)きたのだ。

「……」

「や、やめてっ______兄妹でこんなことしちゃ……ダメっなのに……!」

かなめは今までと矛盾することを言いながら、愛おしさを感じさせる仕草で、潤んだ瞳から涙を零している。
その姿は小動物のように儚く、か弱い。男の力で押し倒したら抵抗すら出来ない感じに。足の膝は震え、本能的に内股に閉ざされてしまっている。
これは……演技でやってるのではない。
かなめは、変化したんだ。

(すまん、かなめ。後で泣かせた責任は取るからな)

俺の目論見通りかなめはなった(・・・)
HSS……ヒステリアモードに。
ヒステリア
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