第十五話。最悪の都市伝説
[2/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
で乗ったことのあるような気がするのだ。
「ここも……『ロアの世界』なのか?」
「うん、そうだよ。ここはANA600便を再現したところ。
もし、あの時、お兄ちゃんが来なくて、アリアが一人で『武偵殺し』と戦っていたら……っていう世界。
『H』の真の能力を発揮できなくて、武偵殺しにアリアは負けて、そしてこの飛行機も墜落する……そんな世界。或いはお兄ちゃんが間に合っても、不時着に失敗する世界。操縦機材が全て狂って制御が効かなくて墜落してしまう世界。
この世界は『もし、ANA600便に不測の事態が起きて墜落したら?』という噂から成り立つ世界なんだよ!」
「そんな世界も再現出来るのか?」
「うん、私は『悪戯妖精』のロアでもあるからね。だから過去、現在、未来で起きるありとあらゆる航空機事故、事件を再現出来るという逸話を持ってるんだよ」
なんだよ、そのチート能力。
隙間女だけでもやっかいなのに、さらにやっかいじゃねえか!
「それでお兄ちゃん……自分から来てくれたってことは私と結婚してくれる気になった、ってこと?」
「そうだね。その返事をしに来たんだよ」
俺はかなめの隣の席に腰掛け、そしてかなめに向き合う。
かなめの暴走を止める為とはいえ、これからすることはかなめを傷付ける行為かもしれない。
だが、俺はどうしても守りたいものがあるんだ。
だから……すまん。かなめ。
俺にはこうすることしか出来ないんだ。
俺は顔をかなめに近づけて、その唇に自身の口を押し付けた。
ああ、やっぱりかかりは甘いが……かなめでもなれるんだな。
ヒステリア性の血流が高まるのを感じながら、俺は舌を絡ませるように。
かなめを弱らせる為、キリカ直伝のキスをしてやった。
「ぷはぁーっ……どうだかなめ。兄のキスは凄いだろ?」
かなめの顔を見ると、キスをされたかなめは……。
「はっー、はっー、だ、ダメ。こんなことしちゃ……ダメっ……!」
さっきまで俺にされるがままにキスされていたのに、その手を俺の胸に押し付けるように、拒んできたのだ。
「……」
「や、やめてっ______兄妹でこんなことしちゃ……ダメっなのに……!」
かなめは今までと矛盾することを言いながら、愛おしさを感じさせる仕草で、潤んだ瞳から涙を零している。
その姿は小動物のように儚く、か弱い。男の力で押し倒したら抵抗すら出来ない感じに。足の膝は震え、本能的に内股に閉ざされてしまっている。
これは……演技でやってるのではない。
かなめは、変化したんだ。
(すまん、かなめ。後で泣かせた責任は取るからな)
俺の目論見通りかなめはなった。
HSS……ヒステリアモードに。
ヒステリア
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ