第一部
第三章 パステルカラーの風車が回る。
我愛羅
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虐殺の夜? あれ、ダレが泣いてるんだ? あれ? あれ? アレ? 俺? 違う、俺じゃない。俺じゃない、ダレカ……?
「ふぅうううわぁあああああああああ!!」
ふと聞こえてきた我愛羅の苦悶の絶叫に、サスケは疑問を打ち払った。そうだ、確かスリーマンセル結成当日、サクラと話していた時も頭を過ぎった、ダレカの泣いている回想だ。ダレカかは結局思い出せなかったから、サクラが怪訝そうな顔をしたのを覚えている。
だがそんなことと我愛羅とは何の関連性もないのだし、今ここで考えても無用だ。そう考えてサスケは意識を我愛羅に戻した。頭を抑え、樹上に蹲って呻く我愛羅。本来ならばこの隙をつくべきなのだろうが、おかしい。いけない、と本能に近いそれが告げる。
「お前はぁああああッ、」
ぱき、と音を立てて瓢箪が割れた。
「俺のぉおおおおおッ、」
出てきたのは青い紋様を持った砂色の腕だ。あのときと同じだ、と先ほど森で交戦した時のことを思い出しながらサスケは息を呑んだ。
「えぇえええもぉおおおのぉおおだぁああああああああああああああッッッッッ――――!!」
森の中で響くその雄叫びが、サスケの鼓膜を大きく揺らした。
+
襲い掛かってきた砂色の腕を、サスケは後ろに飛んでかわした。
「化け物か、アイツ……!」
我愛羅の右半身は既に人のそれではなくなっていた。青い紋様の走る砂色の体をした彼の瞳の色もまた大きく変化しており、青くあるべきところは緑に、白目であるべきところは黒に変色してしまっている。頭頂部には耳らしきものも形成されており、血走った瞳と残虐な笑顔は正に化け物そのものだ。
「この俺が怖いか、うちはサスケッッ!」
木の陰に潜めたうちはサスケは、冷や汗を流しながら我愛羅の声に耳を傾けていた。
「この俺の存在がッ! 出てこい、うちはサスケェエ!」
チッ、と舌打ちを零す。中忍試験開始前、道端でカンクロウとテマリにあったことがあった。カンクロウは苛々していたのか、ぶつかってきた木ノ葉丸にでさえキレて〈烏〉を使おうとするような大人気ない一面を見せたのだが、我愛羅が出てきたのを見るなりカンクロウもテマリも途端に畏れをなしたように静まったのである。後で二人が我愛羅の姉と兄であると知っても俄かには信じられないくらい、二人は我愛羅のことを畏れているようだった。
その理由はその圧倒的な実力であるものとばかり思い込んでいたが――どうやらあの二人が恐れていたのは化け物と化したこの我愛羅のことだったようだ。
我愛羅の狂気に満ちた声はまだ響いている。
「お前はぁああ――、俺のぉお――、獲物だぁああああ――――ッッ!!」
不似合いなくらいに明るい空の下。
大蛇丸が初代の作り上げた樹
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