Side Story
少女怪盗と仮面の神父 17
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
罪悪感で胸が締めつけられ、涙が溢れそうになる。
「謝らなくて良いのよ。これは保護者である私の義務と責任だもの。でも、不安があるなら相談してね。お願いだから、一人で抱えて苦しまないで」
ハウィスの両腕がミートリッテの肩を抱き。
子供をなだめる仕草で、ぽんぽんと背中を軽く叩いた。
「ハウィス……っ」
ミートリッテは、声を上げて泣き出したくなるのを懸命に堪え。
柔らかな胸元に顔を押し付けながら、物差しを握ったまま、ぎゅううっとしがみつく。
(護らなきゃ。この人だけは絶対、何がなんでも護らなきゃダメだ!)
もう、依頼がどうとか、指輪が無いとか。
手段なんかに拘って、惑わされてる場合じゃない。
海賊からハウィス達を護る。
それだけの為に、できることをしよう。
条件は
『海賊にシャムロックの正体を口外させない』
『ハウィスと村の人達の安全を確保する』
この二つだけ。
この二つだけを死守できれば良いんだと。
ミートリッテは目蓋を閉じて、ハウィスから離れた。
「……うん。ありがとう、ハウィスお母様。デレッデレに甘えちゃうから、覚悟してね? ハウィスお母様」
「く……っ! わざと二回も言ったわね? 精神攻撃のつもりなのかしら、この娘は!」
「あはは! そんなに気にするなら、いっそ本当に娘を授かったらどう?」
「嫌よ! 私には、手の掛かる可愛い娘が一人居れば十分です!」
両腕を組んで鼻息荒く宣言するハウィス。
七年前の、初めて会った時の願いを……
少し形は違っていても、子供に戻りたいと叫んだミートリッテの願いを、彼女は惜しみない愛情で叶えてくれた。
共に過ごした歳月で積み重ねてきた言葉一つ行動一つに、ミートリッテがどれだけ救われていたか。
彼女はきっと、知らない。
「ありがとう。じゃ、貴女の愛娘は部屋の様子が気になるので、急ぎ二階へ見に行きたいのですが。よろしいかしら?」
物差しをバッグにしまって玄関まで戻り、扉を閉めて振り返る。
「構わなくてよ? ただし、不備があっても苦情は受け付けません」
「朝食の失敗みたいな?」
「朝食の失敗に対するお説教みたいな」
「……では、大海の心を持って挑むとしましょう」
階段の手すりに右手を預けてハウィスと睨み合い。
互いにクスクス笑って、離れた。
灯りを差した室内には、今朝と比べても大きな変化はない。
カーテンやシーツなどの布類が洗われ。
部屋の隅々まで綺麗になっているだけだ。
元々家具が少ない上、見られて困る物は全部自分で持ち歩いていたから、当然と言えば当然だった。
しかし、一つだけ重要な物が欠けている。
「……洗ったのかな?
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ