Side Story
少女怪盗と仮面の神父 17
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のもこのくらいの時間だった。
(男が土足で何度もハウィスの家に上がり込むなんて……赦せない!)
ミートリッテは素早く玄関扉に背中を預け、バッグに入れておいた物差しを左手で取り出し、ぎゅっと握る。
右手は扉の取っ手を掴み、屋内の物音を探りながら突入の時機を計った。
(話し声は……しない。でも何か、ゴトゴト聞こえる。家具? 物を動かしてる? なら!)
ヤツの手は塞がってる。武芸に長けた「本物」が相手でも、突然の襲撃なら一瞬の隙を衝けると読んで扉をガバッと開き、一気に踏み込む。
無言のまま低姿勢で走り、階段横に屈んでいる対象の影を見付けた瞬間、その頭上へ物差しを掲げ……
「……ッ!?」
急停止させた。
「? ミートリッテ?」
扉が開く音に驚いたのか、勢いよく振り返った両目は見慣れた群青色。いつもはふわふわと巻いている髪が後頭部で団子状に纏められ、ヨレヨレの上下服は埃で汚れまくって元の白色が判らなくなっている。
……掃除婦姿のハウィスだった。
「な、なんで……? 仕事はっ?」
両手を背中に隠して一歩退くと、首をこてんと傾けたハウィスは少しの間を置いて……「ああ」と頷いた。
不審者扱いされた事に気付き、立ち上がりつつ「驚かせてごめんね」と謝る。
「今日はお休みを貰ったのよ。ちょっと家の中を整頓したくてね。ミートリッテの部屋も一通り掃除しておいたから、少しは落ち着けると思うんだけど」
「そ、掃除って…… あ。」
『家の中で、何か失くなってたりしない!? いつもと違う所はなかった!?』
ハウィスは、今朝のミートリッテの動揺を静めたくて家中をひっくり返していたらしい。
冷静に辺りを見渡せば、重なり合っていた物や奥のほうにしまわれていた小箱等が、総て一目で見分けられるように配置変えされていた。
『動きがあれば直ぐに判る』ように。
「っ……ご、ごめんなさい! 私……っ」
ハウィスに物凄く……想像していた以上に心配を掛けていた。自分の軽率な言動で、大切な仕事に穴を空けさせてしまったのだ。
罪悪感で胸が締め付けられ、涙が溢れそうになる。
「謝らなくても良いのよ。これは保護者である私の義務と責任だもの。……でも、不安があるなら相談してね。お願いだから、一人で抱えて苦しまないで」
ハウィスの両腕がミートリッテの肩を抱き、子供を宥める仕草でぽんぽんと背中を軽く叩いた。
「ハウィス……っ」
声を上げて泣き出したくなるのを懸命に堪え、柔らかな胸元に顔を押し付けながら、物差しを持ったままぎゅううっとしがみ付く。
(護らなきゃ。この人だけは絶対、何がなんでも護らなきゃ駄目だ!)
もう『依頼』がどうとか指輪が無いとか、手段に拘って惑わされてる場合じゃない。海賊達からハウィス達
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