第三十一話 リッシュモンの反撃
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」
「は、はい」
女は大事そうに両手でワイングラスを持つと、そのまま呷った。
「……う」
呷った状態で後ろに倒れた女は、ピクリとも動かなくなった。
「どうだ、死ぬほど美味かっただろう?」
毒ワインで死んだ女を蹴り付け、『ふん』と吐き捨てた。
「コレを王子の手の者に見つからない様に処分せよ。それと急ぎ馬車の準備を、これより登城する」
リッシュモンはニヤリと笑い執事に命じた。
☆ ☆ ☆
王妃マリアンヌは退屈な毎日を過ごしていた。
息子のマクシミリアンが新宮殿に移り住んで1年以上経ったが、マクシミリアンの後を追って娘のアンリエッタも新宮殿に入り浸るようになった。
家族団らんで過ごす事も1年に数回程度になり。もっと子供達と遊びたいマリアンヌはそれが気に入らなかった。
(どうして二人とも、あんな屋敷に居られるのかしら)
エスターシュ嫌いの急先鋒で知られるマリアンヌはエスターシュが建てた新宮殿すら嫌っていた。
出来る事なら今すぐにでも、悪しき新宮殿から息子と娘を助け出したかった。
そして、また家族4人で一つのベッドで寝る事を望んでいた。
「あ、5人も悪くないわね……フフフ」
ちょうど今日、マクシミリアンとカトレアの結婚の日時が決定して、マクシミリアンは報告を聞きに登城していた。
「でも、5人で寝るとなると新婚生活を邪魔する事になっちゃうわね」
数ヵ月後に加わる新たな家族にマリアンヌは少し機嫌を直した。
そんな時だ、高等法院院長リッシュモン伯がマリアンヌに火急の面会を求めたのは……
……
「火急の面会をご承諾して頂きありがとうございます」
「今日は吉日。多少の事は目を瞑りましょう。それで、用件は?」
「はい、実は……」
リッシュモンは新宮殿に現れた平民の少女が、愛するマリアンヌの子供達に近づいた事を、リッシュモンの都合の良いように言った。なるべくマリアンヌが激高するように。
「平民の娘が、易々と王家の者に声を掛けるなど由々しき事態です。アンリエッタ姫殿下の新宮殿の出入りを禁止すべきではないでしょうか?」
「そうね、アンリエッタは禁止すればそれで済むでしょう。ですが、マクシミリアンは? あの屋敷は、あの子の住まいなのよ?」
「そこは不肖、リッシュモンにお任せ下さい。必ずやマクシミリアン殿下を、マリアンヌ王妃殿下の下へお返し致しましょう。『リッシュモンに任す』、ただその一言でよいのです。どうか……どうか」
リッシュモンは片膝を付き、頭を深々と下げた。
「……」
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