第一章
[2]次話
冬の恋
アイスランドは言うまでもなく寒い、それもだ。
他の国と比べて相当に寒い、しかも冬となればだ。
余計に寒い、それで外出する者も少ない。
学校にいてもだ、誰もがこう言った。
「学校に来るのもな」
「大変だよ」
「寒くて仕方がないし」
「どれだけ厚着をしていても」
「しかも雪に氷に」
「本当にこの国は大変だよ」
「特に冬には」
「今は季節は」
とりわけ、というのだ。
「大変でな」
「仕方ないな」
「早く春になって欲しいな」
「春も短いけれどな」
そして冬は長い、北欧特有のことだ。
「やれやれだな」
「本当にな」
「全くだな」
「アイスランドだから仕方ないにしても」
「どうにかならないものか」
「困ったことだよ」
こう話すのだった、そしてだった。
その中でだ、スノッリ=エルナソンは交際相手のビクトリア=オーソンにこんなことを言った。二人で一緒に食堂で食べている時に。
「イギリスと比べてどうかな」
「答え聞きたい?」
ビクトリアはくすりと笑ってスノッリに返した。ビクトリアはブラウンの長い波がかった髪の毛に緑の瞳で白い面長の顔で鼻は高く眉が細い。背は一六七はあり胸がある。整ったスタイルだ。
スノッリは彼女より十センチ位高く薄いブロンドのショートヘアにアイスブルーのはっきりとした目だ。やや面長で彫がある顔立ちで鼻が高い。痩せた身体つきである。二人共学校の制服を着ている。青いブレザーにグレーのズボンと膝までのスカートだ。
ビクトリアはイギリスから父の仕事の関係でこのアイスランドのレイキャビクに移住してきてスノッリと知り合い交際をはじめた、交際のきっかけは一緒にクラスになってそこでお互いに話をしているうちに仲良くなってだ。
その彼女がだ、こうスノッリの問いに答えたのだった。
「イギリスが温泉に思えるわ」
「アイスランドに沢山ある」
「ええ、そこまで違うわ」
「やっぱりアイスランドは寒いよね」
「氷の国でしょ」
「アイスランド、文字通りね」
「それだけにね」
イギリス、スコットランド生まれの彼女からしてみればだ。
「エジンベアが恋しくなる程よ」
「やっぱりそうだよね」
「寒いとは聞いていたから」
だからと返すビクトリアあった。
「わかっていたわ、けれどね」
「それでもなんだ」
「この寒さはね」
それこそというのだ。
「効くわね」
「寒くて仕方がなくて」
「すぐに冷えるわ」
身体がというのだ。
「イギリスの基準でいくとね」
「だからいつも厚着なんだね」
「制服の下にセーターを着て」
登下校の時は長いコートにマフラー、そしてミトンを着けている。頭には帽子だ。
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