第六章
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「スカートを穿くことも多いけれど」
「そのスカートもミニスカートだったりするわ」
「アリスさんみたいに長いスカートじゃないわ」
「スカートの下もショーツだし」
「女の子も変わる」
ここでキャロルさんはこうしたことを言ったのだった。
「服装もね」
「ええ、今だとアリスさんの服の方がね」
「珍しい服よ」
「古いっていうか古典的?」
「ゴシックね」
「そうなるね、しかし私の生きていた頃はね」
イギリスにだ、言うまでもなく。
「アリスの服が普通だったのだよ」
「そうよね、そしてこの世界も」
「十九世紀のイギリスよね」
「この不思議の国は」
「キャロルさんの世界よね」
「その通りだよ、私が生み出した世界だけれど」
ここでだ、キャロルさんは二人に微笑んでだ。こんなことを言った。
「けれどね」
「けれど?」
「けれどっていいますと」
「この場で面白いことに気付いたかな」
「あっ、そういえば」
「キャロルさんがいて」
このことにだ、二人も気付いて言った。
「そしてね」
「皆仲良くお茶を楽しんでるわね」
「アリスさんもいてね」
「トランプの王様と女王様も一緒ね」
衝突した筈の双方がだ。
「それも仲良く」
「お茶を楽しんでるわね」
「私もいるよ」
兎も畏まって言って来た。
「この通りね」
「不思議の国の人達が」
「あの時は何かとあったのに」
「今は仲良くなのね」
「一緒にいるのね」
「このことも変わったのだよ」
キャロルさんが二人にこうも話した。
「不思議の国、鏡の国でね」
「そうなんですね」
「最初は仲が悪くても」
「仲良くなれる」
「そうなっていくんですね」
「そうなんだよ、私がこの国に来た時には」
イギリス、二人の故郷でありキャロルさんの故郷でもあるこの国からだ。
「アリスは皆と仲良くなっていたよ」
「あれから何度もこの国に来たから」
そのアリスの言葉だ。
「それで王様や女王様とも何度もお話したし」
「そうしているうちにね」
「仲良くなったのよ」
王様と女王様も言う。
「そして今はこうして」
「不思議の国でいつも一緒にお茶も楽しんでいるわ」
「不思議の国も変わるんだ」
キャロルさんはこうも言った。
「私が考えた世界でも私の手を離れてね」
「キャロルさんが生み出した世界でも」
「キャロルさんの手を離れてですか」
「色々変わっていって」
「アリスさんもこうして皆と仲良くなったんですね」
「そうだよ、ではね」
それではとだ、また言ったキャロルさんだった。
「今はこの紅茶とティーセットを楽しもう」
「私達もですね」
「そうしていいんですね」
「そう、そしてお茶の後は」
ティーセットも食べてだ、言うまでもなく。
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