第三章
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「君達を止める権利はないよ」
「だからなのね」
「そう、ついてきたいのならね」
その時はというのだ。
「ついて来ればいいよ」
「聞いたわね、じゃあいいわね」
メアリーは兎の返事を聞いてだった、そのうえでキャロルに顔を向けてつぎぇた。
「行くわよ」
「何か急ね」
「世の中は急に物事が起こる時もあるわね」
「それが今なのね」
「そういうことyと、じゃあね」
「ええ、今からね」
「二人でついていくわよ」
兎にだ、こう話して頷き合ってだった。
兎の後について行った、兎はすぐにだった。
二人の家の壁に向かった、跳びはねて壁を越えるかと思われたが。
その壁に突っ込んだ、するとだった。
壁のところに黒い穴が出てだ、兎はその中に入った。二人もだった。
その二人の中に入った、そしてその穴の中は。
二人もよく知っている世界だった、顔のある大きなチェスがあり機械仕掛けもあり。
二人の世界には到底有り得ないものが周りに多くあった、そこはまさにだった。
「不思議の国ね」
「そうね」
キャロルは姉の言葉に応えた、まさにそこはだった。
不思議の国だった、それでキャロルも言うのだった。
「ここは」
「あの兎さんもそうでね」
メアリーは今も自分の前を走っている兎を見つつ言った。
「この世界もね」
「不思議の国なのね」
「若しくは鏡の国か」
「どちらかよね」
「それか両方か」
メアリーは自分の右手に猛獣を見た、その後ろに歪んだダリの絵に出て来る様な時計を背景として持っている。
「そうかもね」
「あれは確か」
「ええ、多分だけれどね」
「バンダースナッチよね」
鏡の国のアリスに話が出て来る獣だ。
「あの後ろの時計を見てると」
「荒れ狂うバンダースナッチを止めることは」
キャロルはここでこう呟いた。
「時間を止めるより難しい」
「鏡の国のアリスね」
「そのバンダースナッチがいるということは」
「不思議の国と鏡の国は一緒の世界だったみたいね」
「そうみたいね」
「そして私達はね」
「今その世界にいるのね」
キャロルはここで完全にそのことを認識した。
「本当に」
「そうね、まさか実際にアリスの世界があって」
「私達が行くなんて」
「面白いじゃない」
明るく笑って言うメアリーだった。
「これは楽しまないとね」
「楽観的ね、姉さんは」
「だって実際に本で読んでも面白い世界でしょ」
「まあね」
「寓話と風刺に満ちていてね」
「これでアリスみたいに無事に帰られたらいいけれど」
「大丈夫、ホラー映画じゃないのよ」
イギリスのホラー映画は大抵あともう少しそれこそゴールの一歩手前で倒れてしまうか一見ハッピーエンドでも少し考えてみるとそうでなかったりす
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