第三章
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「航空機もいなくなる」
「はい、夜間戦用ではないですからね」
このことはわかっていた、今の連合軍の艦載機アメリカ軍もイギリス軍も夜間戦用のものはないのだ。彼等にとって幸いなことに。
「一番怖い飛行艇じゃないですし」
「あれは航続距離も長いしな」
「艦載機はまだましですね」
「そうだ、だから夜までな」
「息を潜めますか」
「そうするぞ」
こうヴァルターに囁いてだ、そうして。
彼等は最大深度まで潜ってだった、息を潜めた。
一時間、二時間、そして。
三時間になった。だが。
まだ夜ではない、それでだった。
彼等は息を潜め続けた、それこそ会話も囁くものだ。
食事、それもだった。
「いいな」
「はい」
ヴァルターはゴルトマンの言葉に頷いた。
「音はですね」
「立てるな」
「艦載機がいれば」
「駆逐艦もだ」
「いる可能性が高いですね」
「ソナーを持ったな」
耳がある、というのだ。
「それがいるからな」
「だからですね」
「そうだ、大きな音はだ」
「食事中でも」
「立てるな」
こう副長に囁くのだった。
「くれぐれもな」
「わかりました」
ヴァルターは緊張した顔で頷いてだ、パンをかじった。そうして。
五時間経った、ここで。
ヴァルターはゴルトマンにだ、自分の腕時計が持っている懐中時計の時間を見せて言った。
「もうです」
「完全にだな」
「はい、夜です」
待ちに待ったその時が来たというのだ。
「どうされますか」
「行くぞ」
すぐにだ、ゴルトマンはヴァルターに答えた。
「深度はこのままでだ」
「用心してですね」
「そうだ、下手に上昇してだ」
潜望鏡やシュノーケルを出せる深度にまで出てもというのだ。
「そこで駆逐艦がいるとな」
「まずいからですね」
「この海域を出る」
そうするというのだ。
「そして安全と思われる場所に来てな」
「そこで、ですね」
「出るぞ、いいな」
「わかりました」
ヴァルターはゴルトマンに敬礼で応えた、そしてだった。
彼等は深度はそのままで進みはじめた、そうして。
何とかだ、海域を出てだった。
ここでようやくだ、ゴルトマンは命令した。
「上昇するぞ」
「はい、わかりました」
「それでは」
その言葉を待っていたとばかりにだ、船員達は応えた。
「ではすぐに」
「そうしましょう」
「かなり潜っていたからな」
シュノーケル、空気を出し入れ出来るその装置がない距離にだ。
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