第六章
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「ポケットに手を突っ込んだままああした口調で言って来る人はな」
「まともな人じゃないのね」
「そう言われてるしな」
「あんたもそう思うから」
「ああ」
それで、というのだった。
「俺もあの人については思ったよ」
「悪い人ね」
「そうした奴が店長さんみたいな人に近付くってことはな」
「悪いことをしようとしてるってことね」
「あの人はな」
敬太郎はというと。
「人を疑わないだろ」
「そうしたこととは無縁の人よ」
「今時珍しい人だな、けれどな」
「それでもよね」
「そうした人こそな」
「騙されるのね」
「ああ、そうなるからな」
だからだというのだ。
「あのおばさんの言うことをな」
「見ていることね」
「何か凄いことを考えてるみたいだしな」
浩輔自身真剣に考える顔だ、その顔で話すのだった。
「ここはな」
「お任せして」
「見ていような」
「それじゃあ」
優子は浩輔の言葉に頷いた、そしてここは彼等の言う通り黙って見ることにした。そして二十日程経った時にだった。
優子は浩輔にだ、学校の彼等のクラスで話した。
「凄いことになってきたわよ、バイト先でのことが」
「あの如何にも悪人って人のことでか」
「ええ、宮田さんも他のお客さん達もね」
「集まってか」
「探偵さん雇ってあの人のこと調べていたのよ」
「それで何がわかったんだ?」
「あの人総会屋でしかも詐欺師だったのよ」
そうした素性だったというのだ。
「前科七犯、恐喝や詐欺、窃盗ばかりしてるね」
「ガチのか」
「そう、本物のね」
まさに正真正銘のというのだ。
「犯罪者だったのよ」
「殺人とかしててもおかしくなさそうだな」
「流石にそれはないみたいだけれど」
「前科七犯か」
「それで今もね」
「懲りずにか」
浩輔も話を聞いていて顔を顰めさせる。
「今もやってるんだな」
「振り込めとかやってるみたいだから」
「それでか」
「実はお客さんの中に弁護士さんもいて」
それでというのだ。
「店長さんについてるし」
「こうした時有り難いな」
「ええ、法律の専門家もいるとね」
「いざって時はか」
「店長さんをガードしてくれるそうだし」
法律の面でだ、法律はこの世で最も強い力を持つものの一つだ。その世界が法治国家であり健全と言っていい状況下にあるのなら。
「だからね」
「店長さんも安全でか」
「あの悪い人の証拠も掴めそうだから」
「じゃあ証拠を掴んだら」
「警察に通報するみたいだから」
「これでアウトだな」
「ええ、近いうちにそうなるらしいわ」
「それは何よりだな」
ここまで聞いてだ、浩輔は言った。
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