第五章
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「総会屋か」
「ヤクザみたいな人よね」
「ああ、経営コンサルトって言うと聞こえはいいけれどな」
「総会屋っていうと」
「実際ヤクザ屋さんかそれに近いさ」
「そういう人よね」
「そんな人があの店長さんに近付いているっていうことは」
人のいい敬太郎にとだ、浩輔はさらに言った。
「それこそな」
「狙ってるわよね」
「絶対詐欺か何かしようとしてるな」
「やっぱりそうよね」
「おい、店長さんに行った方がいいぜ」
浩輔は真剣な顔で優子に言った。
「何なら俺の方から言おうか」108
「いえ、私が言うから」
すぐに浩輔に言った。
「今日にでもね」
「そうするか」
「ええ、確かにね」
「ああした人はな」
「店長さんに近付けたら駄目だから」
こう二人で話して決めたところでだ、今度はだった。
また店に客が来た、今度は恰幅のいい中年の女だった。
女は優子にだ、顔を顰めさせて言って来た。
「さっき最近この店に出入りしてる奴とすれ違ったけれど」
「今出た人ですね」
「あいつはね」
それこそと言うのだった。
「悪い奴だよ」
「やっぱりそうですか」
「敬太郎さんいい人だからね」
女は今度は困った顔で言った。
「ああした奴もね」
「信じて」
「騙されかねないね」
「どうしましょう」
「ちょっと任せてくれるかい?」
女は優子にこう返した。
「あたし達に」
「宮田さんにですか」
「いやいや、あたし達にだよ」
宮田と呼ばれた女はこう言って優子に笑って返した。
「任せて欲しいんだよ」
「宮田さん達っていいますと」
「敬太郎さんにはいつも世話になってるからね」
「お世話にですか」
「丁寧に仕事してもらってまけてもらって」
女は優子にさらに話した。
「しかもうちの子達の面倒も見たり街の清掃とかもね」
「何でもですか」
「してくれているから」
だからだというのだ。
「こうした時はね」
「宮田さん達がですか」
「一肌も二肌も脱ぐよ、だからね」
それで、とだ。優子に話したのだった。
「優子ちゃんは見ていてね」
「あの人をどうするか」
「ああ、あたし達がね」
こう確かな顔で言うのだった、そして。
女は優子にクリーニングに出す服と代金を渡してから帰った、浩輔はその一部始終を見てから優子に対して言った。
「なあ」
「ええ、宮田さんね」
「凄いこと言ってたよな」
「あの人のこと何とかするって」
「まあぱっと見でな」
浩輔は言うのだった。
「あの人はな」
「悪い人よね」
「そもそもポケットに手を突っ込んで尋ねてきただろ」
「両手をズボンのポケットにね」
「しかも背中丸めた姿勢でな」
姿勢のことも話すのだった。
「横柄で隙伺うみたいな口調に
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