第二章
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「それとワインで許してあげるわ」
「フランス料理とかお寿司じゃないんだ」
「気分じゃないから」
そうしたものを食べる、だ。どちらも好きなことは事実だけれど今はちょっとそうしたものよりもだったのだ。
「スパゲティて気分だから」
「じゃあイタリアンレストランだね」
「そこに行きましょう」
「それでワインもだね」
「こうなったら一杯食べるから」
そして飲んでだ。
「それで許してあげるわ、ただね」
「うん、今度はだね」
「こんなことないようにしてね」
「だから急だったから」
急に仕事が入ったからというのだ。
「そう言われても」
「全く、運が悪いわね」
「俺もそう思ってるよ」
「私が休みを取ってね」
「俺もって思ったら」
二人で都合を合わせて有給休暇を取ったらだ。
「それだから」
「本当についてないわね」
「だから今回はね」
「ええ、スパゲティを食べましょう」
「それじゃあね」
こうしてだった、彼は私を私達が二人でよく行っているイタリアンレストランに案内してくれた。そしてそこでだった。
私はスパゲティを次から次に注文した、イカ墨もペペロンチーノもトマトを使ったものもだ。
そこにピザも頼んでワインも二本開けてケーキも食べた、そうしてだった。
お腹一杯になってかなり酔ったところでだ、二人用のテーブルに一緒に座っている彼に対してこう言った。
「まあこれでね」
「機嫌なおしてくれた?」
「かなりね。許してあげるわ」
「よかったよ」
「まあ許してあげるっていっても」
機嫌がなおったところで考えてみれヴばだった。
「あなたのせいじゃないわね」
「会社の都合だからね」
「そうよね、だから言ってもね」
目の前の彼にだ。
「仕方ないわね」
「うん、まあね」
「そういうことよね、じゃあいいわ」
「じゃあ今度ね」
「今度こそ一緒に行きましょう」
「旅行にね」
「今はね」
今現在はとだ、私はまた言った。
「一人だけで行って来るわ」
「一人だけって?」
「今からね」
「今からって」
「考えたのよ」
その今現在だ、もっと言えば思いついた。
「それをするわ」
「どうするのかな」
「こうするの」
こう彼に言ってだ、私は。
目を閉じてだ、瞼の奥で。
彼と一緒に行く筈だった旅行の行く先を見た、温泉があって奇麗なホテルに泊まっていて。
ビーチで水着姿で彼と遊んで一緒にお酒やご馳走を楽しむ。それを見てだった。
私は彼にだ、目を開けてからまた言った。
「行って来たわ」
「ああ、想像してたんだ」
「旅行をね」
「俺達が行く筈だった」
「それを見てきたわ」
微笑んでだ、私は彼に答えた。
「少しね」
「そうしてきたんだね」
「これでいいわ」
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